運送業を始める為には許可をとらなければなりませんが、許可を取る為には様々な要件(制約)があり、それに事業者が合致しているかどうか一つ一つ潰していく必要があります。

場所に関する要件はその中でも最も大事ともいわれる要件です。

運送業を経営していくにあたり必要となる、「営業所」「休憩施設」「車庫」などにおいて様々な制約があり、その制約を知らずに土地の賃貸借契約を結んだりしてしまうと時間的にも金銭的にも遠回りになってしまいます。

場所選びには最新の注意が必要です。

①営業所の要件

使用権原があること

営業所は自己所有または賃貸。いずれかの形において使用権原を有する事の裏付けが必要になります。裏付け書類としては自己所有であれば建物の全部事項証明。賃貸であれば賃貸借契約書が必要になります。住居用での賃貸借契約書ではなく、事務所として利用可能という記載がないといけません。逆に言えば事務所として利用可能であればアパートでも大丈夫です。

また、賃貸借の契約期間が1年に満たない場合は、契約期間満了時に自動更新される旨の記載が契約書に記載されている必要がありますのでこの点も気にしておきましょう。

農地法・都市計画法・建築基準法等に抵触していない事

土地というのは様々な関係法令において使用に制限がかかっている場合があります。
例えば農地法であれば国の重要な国策である農業を守る為に、農地に勝手に建物を建ててはいけない事になっていますし、都市計画法においては計画区域を設け都市を総合的に整備する為に計画に沿っていない建物の建築はできない事になっています。

これらの関係法令に抵触している物件を、営業所として使用する事はできません。

営業所を建てようとする土地の登記簿上の地目が、田・畑の場合は、農地転用手続きが必要になります。
また土地が市街化調整区域の場合は開発許可が必要となります。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域では、用途地域内の建築物の用途制限の関係で、原則として運送業の営業所は設置できない事になっています。
用途地域はインターネットや市町村の担当者に聞く事で確認ができるので営業所の土地建物を賃貸する前にしっかりと確認しておくことが大切です。

営業所の面積について

営業所の面積については具体的な数字の規定はありません
事務机、椅子、棚が置け。事務作業ができる程度の面積があれば大丈夫です。

休憩・睡眠施設の要件

休憩・睡眠施設は営業所または車庫に併設していなければなりません。単独で設ける事はできません。営業所に併設する場合には事務スペースと休憩・睡眠施設のスペースを物理的に分ける必要があり、同じ部屋を使う場合はパーテーションで区切る必要があります。

営業所と違い面積の要件も決められています。

運転手が休憩・睡眠施設で睡眠をとる必要がある場合は、1人あたり2.5㎡以上の広さを確保しなければなりません。運転手が睡眠をとらない業務体系の場合は、ソファーなどがおけるくらいの広さがあれば十分です。

その他使用権原がある事、農地法、都市計画法、建築基準法等関係法令に抵触しない施設であるという点については営業所と同様です。

車庫の要件

トラック等、営業用の車を停めておくための車庫についても要件が決められています。

農地法や都市計画法による制限

車庫は市街化調整区域でも指定は可能です。これは営業所とは違う点になります。
ただし農地はそのままで車庫にする事はできないので農地転用などの許可が必要となります。

営業所との距離

運送会社には点呼義務が課されているので、本来は営業所に車庫が併設されているのが理想ですが様々な理由から営業所と離れた場所に車庫がある運送会社も多いのが現状です。
運送業許可には営業所と車庫の間の距離が決められているのでその距離を守れば許可は下ります。

営業所と車庫の距離の規定は直線距離で10km以内です。
(東京23区と川崎市、横浜市は20km以内)

地図などで確認し営業所から10km圏内であれば車庫として登録する事ができます。

車庫の面積の要件

運送に使用する車両すべてが駐車できる面積が必要です。

車両と車庫の境界、および車両と車両の間に50cm以上の間隔を確保する必要があります。

この車両を駐車できる面積は積載トン数によってあらかじめ定められているので実測ではなく、以下の数字を使って駐車場内の余裕を計算する事になります。

2.0トンまで・・・15㎡
2.0トンロング・・・20㎡
2.0トンロング超~7.5トンまで・・・28㎡
7.5トン超・・・38㎡

車庫の前面道路

車両制限令に基づき、車庫の出入り口の道路幅員が運送業の車庫に適しているか判断されます。

その為「幅員証明」という証明書の提出が義務付けられているのです。(前面道路が国道の場合は不要)

道路幅員は6.5メートルあればおよそ問題はありませんが、それ未満の場合は車庫として使用できない場合があります。

6m道路と言われていても、それが道路幅員なのか、有効車道幅員なのかで判断が分かれる為担当者に確認をする事が大事です。

 

様々な関係法令を横断的に確認する事が必要になりますので、施設選びにはかなりの時間と労力が必要になります。

その他の許可要件

その他の許可要件については以下のページでも解説しております。あわせてご覧ください。

資金的要件についてはこちら