ご依頼の経緯
T様は、10年以上前に亡くなられたお父様名義の不動産について、名義変更が未了の状態であることをずっと気にされていました。相続登記が義務化されたこともあり、これを機に手続きを進めたいと考え、近隣に事務所を構える当事務所にご相談いただきました。
T様のお父様は公正証書遺言を遺しており、その遺言の内容では、T様が不動産を相続すること、また遺言執行者として手続きを行うことが明記されていました。しかし、T様のご希望は、遺言書の内容を変更し、不動産をご兄弟に譲るというものでした。
担当者のコメント
T様のご希望を叶えるために、私たちはまず2つの選択肢をご提案しました。
- 遺言書に従い、T様が不動産を相続し、その後ご兄弟に贈与する方法
この場合、T様が不動産を一旦相続した後にご兄弟へ贈与する形になるため、贈与税が発生するものの、他のご兄弟の同意を得る必要はありません。 - 遺産分割協議を行い、遺言書の内容を変更して直接ご兄弟に不動産を相続させる方法
この方法では、遺言書の効力を一部変更するため、相続人全員(T様のご兄弟5人)の同意が必要となります。
T様のケースでは、ご兄弟の中に不動産を特定の兄弟に譲ることを快く思わない方もいらっしゃったため、協議の成立が難しいと判断しました。そのため、1つ目の方法、すなわちT様が一旦不動産を相続し、その後にご兄弟へ贈与する形を選択されました。
手続きにあたっては、司法書士と税理士が連携を図り、遺言書どおりにT様の名義へ不動産を移転した後、贈与税の計算・申告手続きを迅速に進めました。また、不動産移転の際には可能な限り手続きの簡素化を図り、スムーズに対応しました。
その結果
T様は無事、不動産の名義変更を完了することができました。贈与税が若干発生したものの、ご兄弟との間に新たなトラブルが生じることもなく、円満に手続きが進んだことは大きな成果でした。
T様は「長年気にしていたお父様の不動産について肩の荷が下りた」と安堵され、今後の相続関連の手続きについても当事務所に相談したいとおっしゃっていました。
お客様メッセージ
「お父さんの遺言書があったので、最初はそのまま従わないといけないと思っていました。でも、選択肢を詳しく説明していただき、希望通りに兄弟に不動産を譲ることができ、本当に助かりました。昔はこんな手続きが必要だなんて考えてもいませんでしたが、プロの方にお願いして良かったです。これからも相続のことで困ったらご相談したいと思います。」