■ご依頼の経緯
K様は数年前に配偶者を亡くされ、それ以降はお一人で生活されていました。お子様たちは近隣に住んでおり、頻繁に顔を合わせる機会もあったため、特に仲が悪いということはありませんでした。しかし、K様は「自分に何かあったときに、相続をめぐって万が一にも子供たちが争うことがあってほしくない」と強く願っておられました。
当初は、「遺言書を作るほどのことなのか」「自分の財産をどう分けるべきか」と悩まれていましたが、信頼しているご友人から当事務所を紹介され、遺言書の専門家に相談してみることを決意されました。
■担当行政書士のコメント
K様とお話をさせていただくと、とても穏やかで優しい印象を受けました。また、お子様たちも近くに住んでおり、関係は良好でした。そのため、単に遺言書を作るだけでなく、「家族全員が納得し、将来にわたって円満な関係を築ける遺言書を作る」 ことが重要だと考えました。
遺言書をきっかけにしてより家族の仲を円満にするという理由はK様が遺言書を作る動機にもなりました。
そこで、K様には「ご自身の希望を整理したうえで、お子様たちにもその想いを伝える」というプロセスを踏むことをご提案しました。これは、「お子様たちにどう伝えるべきか悩んでいる」というK様の不安を解消し、同時に家族全員で相続に対する理解を深めることができる方法でした。
具体的には、まずK様のお気持ちや、どのような遺言書にしたいのかをじっくりとお聞きしました。そして、一度遺言書の草案(プロット)を作成し、その内容を分かりやすく要約した資料を作成。それをK様にお渡しし、お子様たちと話し合う機会を持っていただきました。
この過程は、当事務所からの強制ではなく、K様ご自身が「ぜひ子供たちと話し合いたい」と思われたことで実現しました。その結果、お子様たちも「母がここまで自分たちのことを考えてくれていたのか」と驚き、より家族の絆が深まった様子でした。
■具体的なサポート内容
- ヒアリングと遺言書の方向性の整理
- K様のご意向を細かくヒアリングし、どのような遺言書にするべきか整理
- お子様たちへの伝え方についてアドバイス
- 遺言書の草案作成と共有
- K様のご希望を反映した遺言書の草案(プロット)を作成
- 内容を分かりやすくまとめた要約資料を作成し、お子様たちと話し合う機会を提案
- 家族間の合意形成のサポート
- K様が実際にお子様たちと話し合う際のポイントをアドバイス
- 必要に応じてお子様たちへの説明のサポート
- 公正証書遺言の作成
- 公証役場での手続きをスムーズに進めるための準備
- K様とともに公証役場へ同行し、公正証書遺言の作成を支援
- 当日、お子様たちも公証役場の待合室で待機し、K様を見守る形に
■その結果
K様は、公正証書遺言を作成することができました。特に、お子様たちも遺言書作成の意図を十分に理解し、家族全員が納得のいく形での遺言書となったことが大きな成果でした。
また、「母が遺言書を残したいと考えている」という事実を共有することで、お子様たちの意識にも変化がありました。遺言書は単なる形式的なものではなく、「大切な家族の未来を守るためのもの」という理解が深まり、より家族の絆が強くなったと感じられました。
■お客様の声(K様の感想)
「最初は遺言書を作ることに少し抵抗がありましたが、先生に相談して本当に良かったです。何より、子供たちが遺言書の大切さを理解してくれたことが嬉しくて、家族の絆がより深まった気がします。最終的に公正証書遺言を作成できたことで、将来への不安が軽減されました。これで安心して過ごせそうです。ありがとうございました。」