ご依頼の経緯
O様が遺言書の作成を考えるようになったきっかけは、「行方不明の子どもが相続時にトラブルの原因になるのではないか」という不安からでした。ご本人としては、他の家族に迷惑をかけず、円滑に相続が行えるようにしておきたいという思いが強くありました。
また、ご自身で遺言書を書こうと試みたものの、どのように書けば法的に有効なのかがわからず、インターネットなどを調べても不安が残るばかりだったといいます。しっかりと法的に効力のある遺言書を残すため、相続と遺言の専門家を探し、当事務所にご相談くださいました。
担当行政書士のコメント
O様のケースでは、まず大きな課題として「行方不明のお子様の戸籍調査」がありました。O様の現在の戸籍から順にたどり、結婚や離婚、転籍などを経た複数の戸籍を追いかける作業は非常に時間がかかるものでした。しかし、地道な調査を進めた結果、無事に現在の戸籍を取得することができ、法的な手続きを行う上での土台が整いました。
次に取り組んだのが、遺留分対策です。仮に行方不明の子どもが相続発生後に現れ、遺留分を主張した場合に備える必要がありました。しかし行方不明の子に対し相続させるという遺言書は作りたくないとO様はおっしゃっていました。そこで、他のお子様に対してしっかりと説明を行い、将来遺留分を主張された時の対応について理解と同意を得たうえで、遺言書の原案を作成していきました。
最終的には、公証役場で公正証書遺言として作成することで、確実にO様のご意思を反映した相続準備を整えることができました。
工夫した点
・戸籍調査の徹底と粘り強い追跡作業
戸籍を辿る際には、丁寧に対応しました。何度も自治体が変わる戸籍でしたが戸籍の読み方に熟知しているので地道に間違いのないように追跡していくことができました。
・遺留分トラブルを未然に防ぐ工夫
行方不明の相続人が将来出現した場合のリスクを最小限に抑えるため、他の子どもに相続させる財産のうち一部が遺留分として行方不明の子どもに渡る可能性について他の子どもにその背景や法的根拠を丁寧にご説明し、ご納得いただくことでトラブルの芽を事前に摘むことができました。
・公正証書による確実な意思の具現化
遺言書の効力に不安を残さないよう、公証人と連携して内容を法的に整え、公正証書として作成。形式の整った、誰にでも明確な遺言とすることで、将来の無用な紛争を防止できる体制を構築しました。
その結果
O様の遺言書は、公証役場にて正式な公正証書として作成され、無事に完成しました。行方不明となっているお子様についても複雑な戸籍調査がすでに済んでおり、将来的な相続手続きの際に時間がかかる可能性も少なくなりました。遺留分対策についても十分に準備されており、他の相続人との間でのトラブルリスクも最小限に抑えられた状態です。
ご自身の思いを形にし、残されたご家族が安心して相続を受けられるような環境を整えたことで、O様からも深い安心の声をいただくことができました。
お客様メッセージ
最初は「こんな複雑なこと、自分にできるのだろうか」と不安でいっぱいでした。でも、先生が本当に丁寧にひとつずつ説明してくださり、戸籍のことも遺言の内容も全部一緒に考えてくださいました。ずっと気がかりだった子どものことも、こうして準備ができて本当にホッとしています。これからも何かあればお願いしたいと思っています。本当にありがとうございました。