ご依頼の経緯
東京都小平市のY様(70代)はお母様が亡くなられた後、相続手続きを行う事になりました。Y様やその兄弟も高齢になっていたので専門家に依頼をしようと考え当事務所に連絡をいただきました。
初回面談でお話を伺うと大きな問題が隠れていました。相続人のうちの1人である兄弟が、既に「成年被後見人」となっていたのです。Y様は当初、「その兄弟を除いて相続人全員で話し合えばよいのでは」とお考えでしたが、もちろん法的にはそれは認められません。成年被後見人も法定相続人である以上、その方の権利を無視した遺産分割は無効となってしまいます。
このように、通常の相続手続きとは異なる法的配慮が求められる状況に直面し、Y様は専門的な知識と経験のある行政書士に依頼する必要性を強く感じ、当事務所に手続きを依頼されました。
担当行政書士のコメント
成年被後見人が相続人に含まれるケースでは、後見人がその方の代理として遺産分割協議に参加する必要があります。しかし、後見人の立場としては、被後見人の利益を最優先に考慮しなければなりません。そのため、相続人全体のバランスを保ちつつ、被後見人の法定相続分を確実に確保することが求められます。
当事務所では、まず成年被後見人の後見人の方に連絡を取り、現状を丁寧に説明した上で、協議への参加をお願いしました。次に、他の相続人の皆様とも個別に連絡を取り合い、今回の相続における法的な制約や注意点についてご理解いただきながら、合意形成を図っていきました。
被相続人の財産は主に現預金と有価証券で構成されており、不動産がなかったことも幸いし、比較的スムーズに協議を進めることができました。
工夫した点
・成年後見人との丁寧な調整
相続に関わる全ての権利関係を正しく扱うため、成年被後見人の後見人と早い段階でコンタクトを取り、相続財産の状況や分割の方針を丁寧にご説明しました。成年後見人としての立場を尊重し、法的根拠に基づいた対応を徹底しました。
・相続人間の意見調整と安心感の提供
Y様を含め、ご兄弟も高齢で不安を感じておられたため、各相続人に対して個別に進捗報告を行い、不安を取り除きながら手続きを進めました。「誰が何を受け取るのか」「公平かどうか」といった感情面のケアにも配慮しました。
・法定相続分を尊重した分割方針の提示
被後見人の権利を保護しつつ、他の相続人にも納得してもらえるよう、原則として法定相続分に基づく分割案を提示。各人の受け取り分が公平であることが、協議成立の大きなポイントとなりました。
その結果
遺産分割協議はすべての相続人の合意をもって無事成立し、その後の相続手続きもスムーズに進行しました。不動産がなかったことで名義変更等の手間も少なく、現預金と有価証券を法定相続分に基づいて分けることで、全員が納得できる形で完了となりました。
成年被後見人を含む相続という難しいケースではありましたが、法律と人間関係の両面からバランスよく対応することで、Y様のご家族にとって安心かつ負担の少ない解決を実現することができました。
お客様メッセージ
正直なところ、最初はどう進めていいのか全くわからず戸惑っていました。兄弟の1人が後見制度を利用しているということで、余計に不安でしたが、先生が一つひとつ丁寧に説明してくださり、私たちのペースに合わせて対応してくれたのでとても安心できました。兄弟の権利もちゃんと守られたことにも感謝しています。本当にお任せしてよかったです。