ご依頼の経緯
S様は以前から、将来的な相続を見越して遺言書を準備しておいた方がいいのではないか、と漠然と考えていらっしゃいました。しかし、きっかけがないまま時間だけが経過していたといいます。そんなある日、ご友人が当事務所で遺言書の作成を済ませたという話を耳にし、「自分も専門家に相談してみよう」と考え、当事務所にご連絡くださいました。
初回のご相談では、「遺言を書きたいが、まだ内容が決められていない」「どの財産を誰に渡すか悩んでいる」とのことでしたので、まずは丁寧にヒアリングを行い、S様ご本人の思いや価値観をじっくり伺うところから始めました。
担当行政書士のコメント
S様のように、ご家族が多く財産内容に変動可能性がある場合、「今すぐ完全な遺言書を確定させる」ことよりも、「柔軟に修正・更新できる土台をつくる」ことが大切です。
特にS様の場合、以下のようなご事情がありました
- 配偶者も一定の資産を保有しているため、相続時の取り分は最小限で良いと考えている
- 長男に家督的な役割を期待し、不動産を中心に多めに相続させたい意向がある
- 娘たちには平等を意識しつつも、生活状況や将来をふまえて調整したい
これらの思いを的確に形にするには、単に法的なフォーマットを整えるだけでは不十分です。S様との面談を複数回重ね、「何を大切にしたいか」ご意向を丁寧に整理していきました。
工夫した点
今回の遺言書作成では、以下のような工夫を行いました：
- 資産の分類を明確に分ける構成に
預貯金、不動産、その他（株式・保険など）という3つの大分類で構成することにより、見やすく整理された遺言書に仕上げました。それぞれの分野ごとに、誰に・何を・どのような理由で渡すのかが一目でわかるようにしています。 - 自筆証書で初期段階の遺言書を作成
現時点で財産内容に変動があること、また今後不動産の売却や追加購入が想定されることをふまえ、まずは自筆証書で遺言を作成。内容の柔軟な見直しがしやすく、費用も抑えられる方法です。 - 将来的に公正証書へ移行できる構成に
最終的に財産構成が安定したタイミングで、公証役場での公正証書遺言に切り替えることを前提に、今後のフローもご提案。このように段階を踏んだ方式にすることで、現実的かつ実行可能な計画を立てることができました。
その結果
当事務所が原案を作成し、S様がその内容を元に自筆で清書を行い、無事に遺言書が完成しました。法的な要件をすべて満たした形式となっており、ご自身で保管できるよう、保管方法や更新の際の注意点についてもご説明しました。
作成後、S様は「これでいつ何があっても安心です。家族にも自分の考えをしっかり伝えられます」と、明らかに肩の荷が下りたご様子でした。将来的な公正証書化に向けても、必要なときはまたご連絡いただけるようお話ししています。
お客様の声
「正直なところ、最初は“遺言書なんてまだ早い”と思っていたんです。でも話を聞いてもらう中で、自分の中にしっかりとした考えがあることに気付きました。段階的に進めるという提案も現実的で、納得感がありました。これで子どもたちが揉めることなく、私の思いを形にできると思うと本当に安心です。」
小平市で遺言書作成をお考えの方へ
小平市をはじめ、多摩地域全域で遺言書作成のサポートを行っています。特に、相続人が多い方や財産内容に変動がある方、今すぐに公正証書までは考えていないという方にも柔軟な対応が可能です。遺言書のご相談はお気軽にどうぞ。
