小金井市で新たな事業にチャレンジする方向け|新事業進出補助金の概要と活用方法

相談者

今の業界では将来性が不安なので、新しい業界に思い切ってチャレンジしてみたい。でも店舗の内装工事などで大きなお金がかかるので資金面が不安です。

新事業進出補助金が使えるかもしれません。この補助金は建物等の工事費も対象になり新規事業を応援してくれます。

新事業進出補助金とは

新事業進出補助金とは2021年から2025年まで存在した事業再構築補助金の後継とされている補助金です。中小企業が既存の事業とは異なる分野に進出するための設備投資や店舗・工場の改装などを支援するものです。

他の補助金と違う点としては「既存商品の販路開拓」「業務効率化」ではなく新しい製品・サービス、新しい市場へのチャレンジが前提となっている補助金となっています。

小金井市内でも新しい店舗が毎年多く誕生しています。中央線の高架下にはヒガコインキュベーションという新規事業を応援する施設もあり、市としても新規事業へのチャレンジを応援しています。

新事業進出補助金の補助金額と補助率

新事業進出補助金では、新たな事業展開に必要な経費に対して支援が行われます。ここでは「補助率」と「補助上限額」について、解説します。

補助率について

新事業進出補助金の補助率は、対象経費の2分の1と定められています。つまり、かかった経費の半分を補助金で賄うことが可能です。
たとえば、対象となる経費が2,000万円の場合、そのうち最大1,000万円までが補助対象となります。半分は自己負担となるため、資金計画・資金繰りをしっかり計画して進めることが大切です。

補助金額について

補助上限額は、企業規模(従業員数)によって異なります。具体的には次のように設定されています。

  • 従業員数20人以下:750万円~2,500万円
  • 従業員数21人~50人:750万円~4,000万円
  • 従業員数51人~100人:750万円~5,500万円
  • 従業員数101人以上:750万円~7,000万円

さらに、事業計画において通常より高い賃上げ目標を達成する「賃上げ特例」を適用する場合には、補助上限額が最大9,000万円まで引き上げられます。
賃上げ特例を目指すことで、より大規模な事業投資にも対応できる点は大きなメリットです。

下限が750万円に設定されているため、補助対象経費が少ない補助事業は下限を満たさないことを理由に申請ができない点は注意をする必要があります。

新事業進出補助金で対象となる経費とは?

新事業進出補助金では、新たな事業の立ち上げに直接関連する特定の経費が補助対象となります。ここでは、主な補助対象経費について詳しく解説します。

機械装置・システム構築費

新規事業に必要な機械装置やシステム導入にかかる費用が補助対象となります。例えば、製造用設備の購入、業務効率化を図るための専用ソフトウェア開発費などがこれに該当します。新たな市場への進出を支えるための重要な投資が対象となります。

この機械装置・システム構築費と次の建物費のどちらかは最低限申請経費に入れておかないと申請することができません。

建物費

新事業に必要な建物の建設費や改修費も補助対象に含まれます。例えば店舗の新設や工場の改修など、事業に不可欠な設備環境を整えるための費用が認められます。

建物の単なる購入費用や家賃などは対象外となります。

技術導入費

新たな製品やサービス開発に必要な知的財産権等の導入にかかる費用が補助されます。特許権やノウハウの取得、外部からの技術指導を受けるための契約費用などが対象になります。自社だけでは補えない先端技術の導入を支援するための経費です。

外注費

補助事業遂行のために必要な検査等・加工や設計等の一部を外注する場合の経費が補助対象となります。たとえば、安全検査を他に外注する場合や、設計業務の外部委託などが含まれます。

外注費単独の補助上限額は補助金額全体の10%と上限が定められています。

専門家経費

補助事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要不可欠である場合は、外部の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費が補助対象となります。

専門家経費の補助上限額は100万円とされています。

広告宣伝・販売促進費

新規事業の認知度向上や販路開拓を目的とする広告・宣伝活動にかかる費用も補助対象です。具体的には、チラシやパンフレットの作成、ウェブサイト構築、展示会出展費用などが認められます。新しい市場へのアプローチを支援するための重要な経費です。

広告宣伝・販売促進費の上限は事業計画期間1年あたりの売上高見込み額(税抜き)の5%とされています。

小金井市で新事業進出補助金を申請できる事業者について

中小企業者等

新事業進出補助金の対象となるのは、出資金及び従業員数が一定以下の法人および個人事業主、さらに特定の要件を満たす組合等の特定事業者とされています。
対象業種は製造業、建設業、運輸業、小売業、卸売業、サービス業など、幅広い業種にわたり、既存の事業から新たな市場、新たな業種にチャレンジする必要があります。

過去の補助金事業の状況が完了していること

申請締切日を基準として、以下に該当する場合は申請できません。

  • 事業再構築補助金、ものづくり補助金に採択されてから16カ月以内の事業者
  • 過去のものづくり補助金、事業再構築補助金において補助事業がまだ実施中の事業者
  • 過去のものづくり補助金、事業再構築補助金において「事業化状況・知的財産権等報告書」の未提出がある事業者

これらに該当する場合は、申請することができません。

みなし大企業に該当しないこと

発行済株式総数または出資総額の過半数を同一の大企業が所有している場合など、みなし大企業とされる事業者は申請できません。
ここでいう「大企業」とは、中小企業基本法に規定された中小企業者以外の法人を指します。

従業員がいること

新事業進出補助金は従業員の賃上げが大きな目的のひとつであるため、従業員がいない個人事業主や1人法人の場合は申請することができません。

新事業進出補助金の申請に必要な事業要件

申請対象となる事業についても、いくつかの重要な基準を満たす必要があります。

新事業進出指針に適合すること

補助対象となるのは、新事業進出指針に基づき、新規性を有する商品・サービスを提供する新たな事業に限られます。単なる既存事業の拡大では対象とならず、新しい市場に向けた明確な取り組みであることが求められます。

付加価値額の年平均成長率4.0%以上を達成すること

補助事業終了後から3~5年間の事業計画期間中に、事業者全体の付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)を年平均4.0%以上増加させることが要件となります。この成長目標は、事業計画書に明記する必要があり、審査でも重視されます。

賃上げ要件

補助事業終了後3~5年間にわたり、以下のいずれかを達成する必要があります。

  • 給与支給総額の年平均成長率2.5%以上
  • または、1人あたり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県(東京都の場合2.8%)以上にする

この要件に達しない場合、補助金の返還対象となるため、従業員の給与設計には細心の注意が必要です。

事業所内最賃水準要件

補助事業終了後3~5年間、事業所内最低賃金を、毎年その都道府県の最低賃金より30円以上高く設定することが求められます。
例えば、東京都では令和6年10月1日以降、最低賃金が1,163円となるため、これに30円を加算した1,193円以上が基準となります。

この基準を満たせない場合も、補助金の返還対象となりますので、賃金シミュレーションを精緻に行うことが不可欠です。役員報酬も含めた総合的な見直しが必要です。

ワークライフバランス要件

「次世代育成支援対策推進法」に基づき、一般事業主行動計画を策定し、外部に公表することが義務付けられています。
この手続きには1~2週間程度かかる場合があるため、早めに準備を進めることが重要です。

新事業進出補助金に採択されるためのポイント

新事業進出補助金は、多くの事業者が応募するため、単に申請するだけでは採択されるとは限りません。採択されるためには、審査基準を意識して事業計画を作成し、明確にアピールすることが重要です。ここでは、特に押さえておきたいポイントを紹介します。

事業の新規性と市場性を明確に示す

審査の最初の関門は、申請する事業が本当に新規性を持っているかどうかです。公募要領によれば、新規性の判断基準としては、まずはこれまでと別の業種・業態にチャレンジしていること・そしてその業種・業態の中でのジャンルが社会一般で認知度が低いかどうか。もしくは新たな事業がそのジャンルの中で高い付加価値を持っているかどうかを審査されます。単にこれまでと違う事業をすればよいだけでなく、社会にとって新たなイノベーションを生むような取り組みであることを、事業計画書の中で具体的に説明する必要があります。

付加価値向上と賃金向上の実現可能性を示す

新事業進出補助金では、付加価値額の増加や賃金向上といった数値目標の達成が求められます。そのため、目標を達成するための具体的な施策と、実現可能な根拠を事業計画の中で明示することが大切です。単なる目標設定だけではなく、どうやって達成するのかを丁寧に説明しましょう。

新規事業の持続可能性と成長性をアピールする

補助金の目的は、単発の事業支援ではなく、中長期的に自社の成長に繋がるものである必要があります。そのため、事業が持続的に成長していける根拠をきちんと示すことが求められます。競合との比較や自社が持つ優位性、事業スケジュールや遂行に必要な人材等も具体的に記載することがポイントです。

事業リスクと対策を整理しておく

どれだけ素晴らしい計画でも、リスク管理ができていないとマイナス評価を受ける可能性があります。想定されるリスクや課題と、それに対する対応策を事前に整理し、事業計画書に盛り込むことで、実行可能性の高い計画であるとアピールすることができます。

申請に不安な方はみしま行政書士事務所へご相談を

新事業進出補助金は、小金井市で新たに事業を始める事業者にとって、大きな成長に繋げることができる制度です。しかし、補助金申請には、複雑な要件確認や、事業計画の作成、補助事業のスケジュール管理など、多くの専門的な作業が求められます。特に初めて申請する方にとっては、どこから手をつけていいかわからないと感じることも少なくありません。

そんなときは、補助金申請サポートの専門家に相談することをおすすめします。
みしま行政書士事務所では、新事業進出補助金の前身である事業再構築補助金の申請支援も数多く手がけており、事前診断から事業計画書の作成、申請書類のチェック、申請手続きまで、一貫したサポートを提供しています。

専門家に相談することで、採択の可能性を高めるためのポイントを押さえた申請が可能になり、安心して事業のスタートを切ることができます。申請に少しでも不安がある方は、ぜひお気軽にみしま行政書士事務所までご相談ください。

まとめ

小金井市で新たに事業を立ち上げようと考えている方にとって、新事業進出補助金は非常に心強い制度です。補助率や補助上限額、補助対象経費を正しく理解し、申請要件をしっかり満たしたうえで事業計画を作成すれば、資金面の負担を軽減しながら新たな挑戦に踏み出すことができます。

特に、新規性のある事業計画を立て、付加価値の向上や賃金増加といった目標を具体的に示すことが採択のポイントとなります。
一方で、補助金申請には多くの注意点や細かなルールがあり、初めて申請する方にはハードルが高い部分もあります。

もし申請に不安を感じる場合は、補助金申請の専門家に相談することで、手続きのミスを防ぎ、採択の可能性を高めることができます。みしま行政書士事務所では、安心して申請に取り組めるよう、丁寧なサポートを提供しています。新規事業への第一歩を、ぜひ補助金を活用して踏み出してみてください。

よくある質問

補助事業で購入した設備は、既存事業にも使っていいですか?

いいえ、補助事業で導入した設備やシステムは、専ら新事業のためだけに使用しなければなりません。既存事業との兼用や按分は一切認められず、違反すると補助金の返還対象となる場合があります。新規事業専用として明確に管理することが求められます。

事業計画は専門家に丸投げで作成してもいいのでしょうか?

いいえ、事業計画の作成は申請者自身が主体となって行う必要があります。支援者(コンサルタントや行政書士など)が事業計画についてサポートすることは可能ですが、完全な丸投げ作成は禁止されています。

一般事業主行動計画を公表しないと申請できないのですか?

はい、今回の補助金では、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、公表することが必須となっています。この手続きには1〜2週間程度かかるため、早めに準備を始めることが重要です。

新事業進出補助金で求められる「新規性」とはどのようなものですか?

新事業進出補助金でいう「新規性」とは、これまで行っていなかった新たな市場への進出や、新しい製品・サービスの提供を意味します。さらに新たな事業の属するジャンルが社会での認知度が低い事や、新たな事業がそのジャンルの中で付加価値が高い事等も説明する必要があります。既存事業の単なる拡張や模倣ではなく、市場に新たな価値をもたらすチャレンジであることが求められます。

ものづくり補助金や再構築補助金を受けたことがある場合でも申請できますか?

条件によります。申請締切日から16カ月以内に、新事業進出補助金・事業再構築補助金・ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者は、今回の新事業進出補助金には申請できません。過去の補助金採択状況を事前に確認しておく必要があります。

従業員がいない場合でも新事業進出補助金に申請できますか?

いいえ、今回の補助金では従業員が0名の事業者設立後1期を経過していない事業者は対象外となります。賃上げを促進することが制度の大きな目的のため、一定規模の雇用が見込まれることが前提です。

投資額が少ない場合でも申請できますか?

申請には注意が必要です。今回の補助金では、補助金額の下限が750万円に設定されています。つまり、総投資額が最低でも1,500万円以上なければ申請できません。小規模な投資では要件を満たせないため、十分な事業規模の計画が必要です。

金融機関の確認書は必須ですか?

補助事業を自己資金によって進める場合は不要です。しかし補助事業を進めるうえで融資を受ける場合は、金融機関からの確認書が必須となりました。以前必要だった認定支援機関の確認書は不要ですが、資金調達計画をきちんと立てているかを証明するため、金融機関との連携が重要になります。

補助対象経費には必ず設備投資が含まれていなければなりませんか?

はい、必須です。今回の新事業進出補助金では、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていることが求められます。設備投資なしの事業計画は認められませんので、注意が必要です。

採択後の交付申請や事業進行に遅れた場合どうなりますか?

採択後は2か月以内に交付申請を行う必要があります。さらに、事業が計画通りに進行しない場合、最悪採択取消しとなる可能性もあります。無理なスケジュールを組まず、現実的で着実な事業計画を作成することが大切です。

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三島友紀
“中小企業の力で多摩地域を元気に
スタートアップや中小企業の皆様に対し、補助金や融資といった資金調達をサポートします。中小企業が元気になる事で多摩地域全体が盛り上がると考えております。丁寧に、二人三脚で、誠心誠意対応します。

<保有資格>
行政書士/認定経営革新等支援機関/ファイナンシャル・プランナー

<対応業務>
補助金申請サポート、建設業許可サポート、相続サポート