
新たな生産機械の導入であればものづくり補助金が使える可能性があります。従業員の賃上げに取り組むことでより手厚い補助が期待できますので検討してみてください。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が新たな設備投資や革新的なサービス開発に取り組む際、その費用の一部を国が補助する制度です。正式名称は「中小企業等事業再構築促進事業(通称:ものづくり補助金)」であり、製造業に限らず幅広い業種が対象となっています。
小平市内の事業者も、もちろんこの補助金を活用することができます。特に、設備の導入やITシステムの導入によって生産性向上を目指す場合などに非常に有効な制度です。補助金を活用すれば、設備投資の負担を大きく軽減でき、事業拡大のスピードを早めることも可能になります。
2025年5月1日現在、第20次の公募中です。次回申請締切は7月25日(金)17時となっていますので興味がある事業者の方はご参考にしてしっかり準備してきましょう。
ものづくり補助金に申請できる事業者
ものづくり補助金に申請できるのは、一定の条件を満たした中小企業・小規模事業者に限られています。小平市内で事業を営む事業者も、以下の要件を満たしている必要があります。また、補助事業の実施場所を申請時点で有している(賃貸でも可)ことが必要です。
①中小企業者及び特定非営利活動法人等
出資金及び従業員数が一定以下の法人及び個人事業主、企業組合や商工組合等の組合又は連合会及び一定の要件を満たす特定非営利活動法人等が対象となります。この法人及び個人事業主には製造業だけでなく、建設業、運輸業、小売業、卸売業、サービス業など幅広い業種が対象となります。
②過去のもの補助や事業再構築の状況が完了していること
第20次公募の申請締切日を起点にして16カ月以内に新事業進出補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金に採択された事業者、申請締切日でまだ補助事業実施中の事業者、過去のもの補助において「事業化状況・知的財産権等報告書」を未提出の事業者は本補助金への申請はできません。
③みなし大企業に該当する事業者ではないこと
発行済株式総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している等、みなし大企業に該当する事業者は申請することができません。この場合の「大企業」とは「中小企業基本法」に規定する中小企業者以外のもののことを言います。
申請要件
①革新的な新製品・新サービス叉は海外事業を実施する取組みであること
補助金を活用して行う事業内容が「革新的な新製品・新サービスの開発」や「海外需要開拓」に必要な設備投資等を行う必要があります。「革新的な新製品・新サービスの開発」の場合は製品・サービス高付加価値化枠にあたり、「海外需要開拓」の場合はグローバル枠にあたります。単なる店舗改装や機械の入れ替えだけではなく、明確な生産性向上や市場拡大につながる計画であることが求められています。
②付加価値額の増加要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率が3.0%以上増加させることが必要です。付加価値額とは営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。この付加価値額については事業計画で示しておく必要があります。
③賃金の増加要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、従業員及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を2.0%以上増加させること。または、従業員及び役員それぞれの1人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率(東京都の場合2.8%)以上増加させることが必要です。
従業員の賃金だけでなく、役員報酬も上げる必要もあるのでこの点については精緻にシミュレーションをしておく必要があります。
本要件は未達の場合補助金の返還の対象となりますので注意が必要です。
④事業所内最低賃金水準要件
補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、事業所内最低賃金を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金(東京都は令和6年10月1日~は1,163円)より30円以上高い水準にすること。
本要件は未達の場合補助金の返還の対象となりますので注意が必要です。
⑤従業員の仕事・子育て両立要件(従業員数21名以上の場合のみ)
「次世代育成支援対策推進法」に規定している一般事業主行動計画を策定し、公に公表する必要があります。公表にあたっては1~2週間ほどかかる場合があるため、はやめはやめに進めていく必要があります。
⑥グローバル要件(グローバル枠に申請する場合に必須)
以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
・海外への直接投資に関する事業であり、補助対象経費の2分の1以上が海外支店への補助対象経費であること。また国内の事業所にも海外事業と一体的な機械装置等を取得すること。
・海外市場開拓(輸出)に関する事業であり、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、事業計画期間中の補助事業の売上類型学が補助額を上回る事業計画であること、また事前のマーケティング調査に基づく想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出できること
・インバウンド対応に関する事業であり、製品・サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人であり、事業計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画であること。また事前のマーケティング調査によって想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出できること。
・海外企業と共同で行う事業であり、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の全部叉は一部が補助事業者に帰属すること。また共同研究契約書もしくは業務提携契約書のいずれかを提出できること。
補助対象となる経費について
ものづくり補助金では、事業の目的に沿った幅広い経費が補助対象となります。ここでは、代表的な補助対象経費について詳しく紹介していきます。
機械装置・システム構築費
ものづくり補助金の中心的な支援対象となるのが、機械装置やシステム構築費です。新たな製品・サービス開発や、生産プロセスの改善のために使用される機械装置、工具・器具等です。税抜50万円以上の設備投資を行うことが求められています。
単なる更新ではなく、業務の革新や大幅な生産性向上が期待できるものであることが求められます。
技術導入費
本事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費です。知的財産権を所有する他社から取得する場合等も対象になります。
知的財産権等関連経費
新製品・新サービスの事業化にあたって必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続き代行費用、外国特許出願のための翻訳料等の知的財産権等取得に関連する経費が補助対象となります。
専門家経費
本事業の実施のために依頼した専門家に支払う経費が対象となります。ただし申請時の事業計画書作成支援者への報酬額等は対象となりません。中小企業診断士やITコンサルタントなど、外部の専門家を活用して事業の成功確率を高める取り組みが認められます。
クラウドサービス利用費
ITツールの導入に関連して、クラウド型サービスの利用費も一部補助対象になります。たとえば、業務効率化のためのクラウドERPシステムや、顧客管理システム(CRM)を導入する場合、その利用開始初期の費用が助成されることがあります。
ものづくり補助金の補助率と補助上限額
ものづくり補助金を有効に活用するためには、補助率と補助上限額について正しく理解しておくことが欠かせません。それぞれ詳しく見ていきましょう。
補助率について
製品・サービス高付加価値化枠もグローバル枠も、補助率は中小企業が対象経費の2分の1。小規模企業・小規模事業者及び再生事業者は3分の2とされています。また、最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例を中小企業が使う場合は補助率が3分の2に引き上げになります。
補助上限額について
製品・サービス高付加価値化枠の場合補助上限額は従業員数で変化し、従業員数5名以下の場合750万円。従業員数51人以上で2,500万円とされています。また、大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例を使う場合は従業員数によって最大1,000万円が補助上限にプラスされます。
またグローバル枠の場合は補助上限額は3,000万円です。
また、どちらの申請枠の場合も補助下限額が100万円と定められています。
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例を使うと多くの補助金を獲得できるチャンスとなりますが、給与支給総額を年平均6.0%向上させ、最低賃金+50円以上の水準にあげる必要があるため、人件費への影響がどうなるのかきちんと確認しながら取り組んでいく必要があります。
申請から補助金受領までの流れ
ものづくり補助金は、申請してすぐに受け取れるわけではありません。補助金を確実に受け取るためには、事前準備から実績報告、事業化状況報告まで、決められたステップを正しく踏むことが求められます。
まず、最初のステップは、事業計画の策定です。自社の強みや市場環境を分析し、革新的な新商品・新サービス等の開発を具体的な取り組み内容やスケジュールに落とし込み、資金計画をまとめた事業計画書を作成する必要があります。ものづくり補助金では、計画書の質が採択に大きな影響を与えるため、SWOT分析や市場調査をしながら慎重に作り込むことが重要です。
事業計画書が完成し、決算書や誓約書等の必要書類の準備ができたら電子申請システム(Jグランツ)を使って申請を行います。申請にあたっては、gBizIDプライムの取得が必須となるため、余裕を持って事前登録を済ませておく必要があります。
申請後は、審査が行われます。一定の基準を満たした事業者には外部有識者による口頭審査も行われます。書面審査、口頭審査の結果、補助金交付候補者の採択となり、その後交付申請を行うことになります。交付申請とは適切な補助対象経費かどうか見積書をベースに審査するもので、採択発表から原則2か月以内に行う必要があります。交付申請の審査が完了し交付決定を受け取った後、計画した事業をスタートさせる流れになります。なお、交付決定前に事業を開始してしまうと補助対象外となります。
なお、交付申請時点で事業計画書に記載されている事業実施スケジュールどおりに進捗していない場合には遅延の理由や事業実施可能性等を事務局が確認し事業の遂行が困難だと判断できる場合には採択取消しを行う場合もあります。スケジュール管理には細心の注意が必要です。
事業が完了した後には、実績報告書を提出し、補助対象経費が正しく使われたことを証明する必要があります。審査の結果、問題がなければ補助金が支給される仕組みです。支給までには時間がかかる場合もあるため、資金繰りにも十分注意しましょう。
また補助金受給後も毎年4月に事業化状況報告書を提出必要があります。事業化した補助事業がきちんと進んでいるかどうかチェックするものになるので忘れないように報告しましょう。
ものづくり補助金に採択されるためのポイント
ものづくり補助金は当然ながら審査があるため、すべての申請が採択されるわけではありません。採択されるためには、事業計画の内容をしっかりと練り上げ、審査で高く評価されるポイントを押さえることが重要です。
まず最も大切なのは、革新性の明確化です。単なる設備の更新ではなく、新たな付加価値を生み出す取り組みであること書けているか。世間一般ですでに相当程度普及している商品・サービスでないかきちんと説明する必要がります。。新商品・新サービスの開発は「これまでにないもの」であることが必要です。
次に、事業の実現可能性の高さを示すことも重要です。どれほど素晴らしい計画であっても、実行可能性が低いと判断されれば、採択は難しくなります。必要な技術力を有しているのか、社内外の体制は十分あるか、金融機関等からの十分な資金調達は見込まれるのか、資金計画やスケジュールが現実的であることを具体的に示しましょう。
また、地域経済への波及効果も審査ポイントとなります。小平市をはじめ地域全体への経済効果や、雇用創出、環境負荷軽減など社会的意義のある取組であることをアピールできれば、より高評価につながります。
最後に、加点項目も重要です。経営革新計画やパートナーシップ構築宣言、DX認定等様々な加点項目がありますが、取れるものは取っていきましょう。賃上げも通常よりも高い目標設定をすることで加点に繋がります。
これらのポイントを意識して、事業計画を練り上げることで、ものづくり補助金の採択可能性を高めることができます。
申請に不安なときは専門家に相談を
ものづくり補助金を採択に繋げるためには、ただ単に申請書を提出すればいいわけではありません。事業計画の作成から申請書類の整備、審査ポイントを押さえたアピールまで、細かな準備と戦略が求められます。初めて申請する方や、忙しい中で準備を進める方にとって、ハードルが高いと感じるのも無理はありません。
そんな時に頼りになるのが、補助金申請の専門家です。みしま行政書士事務所では、小平市をはじめとする地域の事業者を対象に、ものづくり補助金の申請サポートを行っています。
具体的には、無料の事前相談による要件確認から、事業計画書の作成支援、申請手続きのサポート、交付後のフォローアップまで、トータルでサポートを提供しています。
採択率80%を超える当事務所のサポートを受けることで、申請書類の質を高めることができ、採択される可能性をぐっと引き上げることができます。また、手続きミスを防ぐことで、時間的・精神的な負担も大きく軽減できます。
申請に不安がある方、何から始めればいいかわからない方は、ぜひみしま行政書士事務所へお気軽にご相談ください。あなたの挑戦を全力でサポートいたします。
まとめ
ものづくり補助金は、小平市の事業者にとっても、設備投資や業務効率化に向けた大きな支援となる制度です。申請には、事業内容に革新性があること、実現可能性が高いこと、地域経済への波及効果が期待できることが求められます。また、補助対象経費や補助率、補助上限額といった制度の基本をしっかり理解し、丁寧な事業計画書を作成することが採択のカギとなります。
とはいえ、ものづくり補助金の申請には専門的な知識や綿密な準備が必要であり、初めての方にとっては難しく感じる場面も少なくありません。そんなときは、補助金申請の専門家に相談することが成功への近道です。
みしま行政書士事務所では、申請に関する不安や疑問を丁寧にサポートし、あなたの事業成長を全力で後押しします。ものづくり補助金の活用を検討されている方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
よくある質問
ものづくり補助金は小平市のどんな業種が対象になりますか?
製造業だけでなく、建設業、情報通信業、サービス業など幅広い業種が対象となります。申請には中小企業であることが必要なため、一定程度(サービス業であれば資本金5,000万円以下、従業員数100名以下等の規模を下回る事業者が対象になります。
申請する前にgBizIDプライムの取得は必須ですか?
はい、ものづくり補助金を申請するには、gBizIDプライムアカウントの取得が必須です。申請書は電子申請システム(Jグランツ)から行うため、アカウント取得には余裕を持って準備しておく必要があります。
ものづくり補助金の申請書類で特に重視されるポイントは?
審査のポイントはいくつかありますが、事業計画の革新性と実現可能性は大事なポイントです。単なる設備更新ではなく、事業の成長につながる新しい取り組みであることが求められています。また、地域経済への貢献度や、補助金を有効活用できる体制が整っているかどうかも審査で重要視されます。
ものづくり補助金の対象経費に含められないものはありますか?
はい、通常の家賃、水道光熱費、営業活動にかかる広告宣伝費、日常業務にかかる人件費などは対象外です。補助対象となるのは、新しい設備投資やシステム構築に直接関わる費用に限られます。ただし人件費について補助事業に従事する為新たに正社員を雇用する場合は「産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)」を適用できる場合があります。
申請に不安がある場合、行政書士に依頼するメリットは何ですか?
専門家に依頼することで、申請書類の作成精度が高まり、採択率アップにつながる可能性があります。また、制度改正や最新情報、他の採択事例に関連したアドバイスも受けられるため、スムーズな申請と採択が期待できます。特に初めて申請する方には、専門家サポートの利用がおすすめです。
ものづくり補助金で購入した機械は、他の用途にも使えますか?
いいえ、補助金で購入した機械設備は、原則として補助事業専用で使用する必要があります。補助対象以外の用途に使用すると、目的外使用とみなされ、補助金の返還を求められる場合がありますので注意が必要です。
補助事業は、機械装置を導入するだけで完了とみなされますか?
いいえ、機械の発注・納入・検収・支払いまでをすべて完了し、さらに実績報告書を提出することで初めて補助事業の完了となります。単に機械を設置しただけでは補助金の支給対象にはなりませんので、スケジュール管理が重要です。
交付申請が遅れた場合でも、補助金を受け取れますか?
原則として、採択後2か月以内に交付申請を完了しなければなりません。事業計画書に記載したスケジュール通りに進まない場合は、事務局が実施可能性を審査し、場合によっては採択取消しとなることもあります。速やかな申請準備が求められます。
補助事業期間内に機械納入が間に合わない場合、どうなりますか?
原則、補助事業期間内に完了できない場合は交付決定が取り消されます。ただし、天災や不可抗力による遅延と認められた場合に限り、事故等報告書を提出し承認を受けることで、例外的に期間延長が認められることもあります。
小平市でずっとものづくりをしています。今回新しい機械を入れて従業員の労働時間を少なくして生産性を上げたいと思っています。補助金が使えますか?