2024年1月31日(水)にものづくり補助金の第18次公募要領が発表になりました。ものづくり補助金は正しくは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」という名称で製造業以外の方でも設備投資などに活用できる非常に使いやすい補助金の1つです。
少し前に第17次が公募開始したばかりですが、今度の18次は何が変わっているのでしょうか?わかりやすく解説いたします。
補助対象枠
ものづくり補助金では2024年は17次と18次の2回の公募を予定しているのですが大きな違いの1つ目は申請枠です。
2024年は「省力化(オーダーメイド)枠」「製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)」「製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX))」「グローバル枠」の4種類の枠があります。16次までは5つの枠だったため1つ少なくなっています。
そのうち第17次では「省力化(オーダーメイド)枠」のみが第18次では省力化(オーダーメイド)枠も含む全ての枠を申請することができるようになります。
省力化(オーダーメイド)枠とは
省力化(オーダーメイド)枠とは人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入などにより、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援する枠です。
この専用設備とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(Sler)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステムなどを言います。
そのため、デジタル技術が入っていないもの(単なるラインの製造)や専用で設計されたものでないもの(汎用品)等は対象外となっています。
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)とは
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)とは革新的は製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援する枠になります。後述する成長分野進出類型(DX・GX)と比べると若干補助上限額や補助率が変わってきています。
注意点として、第18回からの公募において3~5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計額が、企業全体の売上高の10%を超える事業計画を作らなければいけない事になっています。第16次までは「新製品・サービスの売上」と「既存の製品・サービスの売上」を明確に区別する必要性はありませんでしたが、今回からはこれを区別した事業計画にしなければいけません。また、「革新的な製品・サービス開発については設備、システムの導入によって顧客に新たな価値を提供することが求められていますが、同業の中小企業において既に相当程度普及している製品・サービスの開発は該当しないとされています。
また、本事業に係る資金について金融機関からの調達を予定している事業者はあらかじめ、金融機関の確認書をもらい提出したうえで申請するという条件も追加となっています。
製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX))とは
製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX))とは今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する革新的な製品・サービス開発の取組みに必要な設備・システム投資等を支援する枠となっています。
DXに資する革新的な製品・サービス開発とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの事を指し、
GXに資する革新的な製品・サービス開発とは「グリーン成長戦略実行計画14分野」に掲げられた課題を解決できる製品・サービスの事を指します。
グローバル枠とは
グローバル枠とは海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等を支援する枠になります。この場合の海外事業とは、①海外への直接投資に関する事業、②海外市場開拓(輸出)に関する事業、③インバウンド対応に関する事業、④海外企業との共同で行う事業をいいます。
グローバル枠への申請にあたっては上記①~④によって、海外支店の有無や、販売先の海外比率、インバウンドへの販売比率等細かく要件が定められているため、公募要領をよく確認することが必要です。
産業雇用安定助成金の活用が可能に
事業再構築補助金で実施されていた、厚生労働省所管の産業雇用安定助成金について新たに「産業連携人材確保等支援コース」がつくられ、ものづくり補助金の18次における「製品・サービス高付加価値化枠」への申請者で年収350万円いじょうの正社員を新たに採用する場合は活用できるようになりました。
申請自体は当補助金の申請とは別に行う必要がありますが、当補助金の申請時に活用を希望する旨を記載していなかった場合は産業雇用安定助成金を申請しても支給されないそうなのでお気をつけください。
加点項目の増加
第16次までと比べ加点項目が増加しています。
「新規輸出1万者支援プログラム」「J-クレジット制度」「GXリーグ」「カーボンフットプリント」に参画、登録、算定等をしている事業者には加点がつく事となっています。これらは第17次も18次も違いはありません。
口頭審査の実施
16次までと異なり、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者を対象にオンラインにて江口頭審査が行われます。時間にして15分程度とされ、申請事業者自身(法人代表者等)1名で対応することとなっており、コンサルタントや事業計画書作成支援者の同席は認められません。
その他変わらない点
その他、給与支給総額の増加や最低賃金の引上げなど基本要件であったり、申請時の事業計画書の審査基準、補助対象経費などは変わらずに16次のままとなっております。
様々な変更点はあるものの、あいかわらず新規事業、新商品に取り組むにあたり大きな機械装置やシステムが必要になるという方にとってチャレンジする価値のある補助金だと思います。スケジュール管理が非常に大事となりますのでご不明な点は事務局。または当事務所までお問合せください。