IT導入補助金2025概要発表。令和7年1月16日中小企業庁発表資料を解説します。

本日令和7年1月16日に中小企業庁よりIT導入補助金2025の概要が発表されました。令和6年12月にチラシのみ先に発表されていましたが今回ついに概要が発表となったことにより、細かい部分まで確認できるようになりました。本記事にて概要をわかりやすく解説いたします。
(サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要

IT導入補助金とは?

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的とした補助金です。デジタル化やDX等に向けたITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入に活用できます。

他の補助金と違う点として補助金の申請者はIT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」(ITツールを提供するベンダー)からのサポートを受けて申請するという点にあり、登録されたITツールの導入というのがまず最初に必要という点にあります。

2025年版のIT導入補助金では、最低賃金引上げへの対応促進に向けて最低賃金近傍の事業者の補助率を増加しています。また更にIT活用の定着を促す導入後の「活用支援」の対象化セキュリティ対策支援を強化している特徴があります。

IT導入補助金の申請枠について

申請枠は2024年と変わらず全4枠5類型となっています。通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、セキュリティ対策推進枠、複数社連携IT導入枠となります。

2024年のIT導入補助金では通常枠、セキュリティ対策推進枠の補助率は1/2でしたが今回は通常枠を申請する事業者のうち3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の30%以上である事業者については補助率が2/3になっています。

またセキュリティ対策推進枠を申請する事業者のうち小規模事業者については補助率が2/3になるなど支援が拡大しています。

補助対象経費も拡大

IT導入補助金ではソフトウェア購入費やクラウド利用料(最大2年分)が補助対象の大部分を占めますが、今回2025年版では導入関連費が拡大されています。

これまでも導入コンサルティング、導入設定 、マニュアル作成 、導入研修、保守サポートといった役務の提供も補助対象となっていましたが、今回のIT導入補助金ではIT活用の定着を促す導入後の「活用支援」も対象化となることが明記されています。

どのような取り組みが活用支援に繋がるのかはこれから例示されてくると思いますが、せっかく導入したツールをより生産性向上に繋げてほしいという国の意図が感じられる変更点です。

通常枠の概要

通常枠は一番基本的な申請枠であり、中小企業・小規模事業者等が働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等に対応するため、生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入したいと思った場合に活用できます。

申請には「ソフトウェアに必要な業務プロセス数」を1項目または4項目以上を満たしている必要があり、プロセス数が1~3つまでの場合の補助額はは5万円~150万円4つ以上の場合は150万円~450万円となっています。通常補助率は1/2。最低賃金近傍の労働者が多い事業者は2/3となります。

プロセス数が4つ以上の申請をする場合には、事業計画期間において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする賃金引き上げ計画を策定し、従業員に表明していることが必要です。

業務プロセスの内容は下記の表をご覧ください。

インボイス枠の概要

インボイス枠はインボイス制度への対応に合わせ、2024年より新設された導入枠で2025年も引き続き継続となっています。「インボイス対応類型」「電子取引類型」に分かれており、インボイス制度に対応したITツールに特化しておりソフトウェアの購入だけでなく、PC、タブレット、レジ、券売機等の購入費用も対象となります。

通常枠よりも補助率が高く小規模事業者であれば最大4/5補助が受けられる為、求めているソフトウェアがインボイス枠対象のソフトウェアであれば通常枠よりも優先して検討したい枠となっています。

申請にあたってはインボイス制度に対応しており「会計」・「受発注」・「決済」の機能を1種類以上有するソフトウェアが対象となります。1機能のみの場合は補助額の上限は50万円(補助率3/4、小規模事業者は4/5)であり、2機能以上を有する場合は50万円を超え、350万円まで補助額が上昇雄します(50万円を超えた部分については補助率2/3)

また、PCやタブレットは補助額10万円。レジ、券売機は補助額20万円(どちらも補助率は1/2)とソフトウェアの補助額とは別となっています。

一般的に「インボイス対応類型」が中心となりますが、取引関係における発注者がインボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、当該取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して無償でアカウントを供与して利用させる場合には「電子取引類型」も選択肢に入ります。この「電子取引類型」は中小企業だけでなく大企業も申請が可能となっています。

セキュリティ対策推進枠の概要

セキュリティ対策推進枠とは中小企業・小規模事業者等において、サイバーインシデントを原因とした事業継続が困難となる等の生産性向上を阻害するリスクを低減するとともに、供給制約やそれに起因する価格高騰の潜在的リスクを低減するための支援として活用できます。


具体的には、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、IT導入支援事業者が提供し、かつ事務局に事前登録されたサービスを導入する際、サービス利用料(最大2年分)が補助されます。

補助額は5万円~150万円となっており、2024年と比べて上限が100万円から150万円に増額されています。また補助率についても中小企業が申請者の場合は 1/2。小規模事業者が申請者の場合は2/3となっております。

今後のスケジュール

1月末頃(予定)よりIT導入支援事業者・ITツールの事前登録手続きの受付が開始されると発表になっています。

その後3月下旬頃から補助金交付申請の受付が開始となる予定で、おそらく5~6回ほどの公募が行われるものと考えられます。

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三島友紀
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