IT導入補助金について。簡単にわかりやすく解説します。

中小企業の生産性を高める為にITやデジタルツールの活用はもはや必要不可欠といえます。チャットGPTをはじめ様々な自動化ツールも出てきておりこれらの活用なしには業務が回らないという企業も多いと思われます。

そのようなIT化、DX化をもっともっと推し進めていくためにIT導入補助金があります。他の補助金とは少し毛色の異なるこの補助金どのようなものなのか解説します。

IT導入補助金とは

IT導入補助金は、業務効率化や生産性向上を目的としたITツールの導入に使える補助金です。特に2023年の現在は今後複数年にわたり行われる様々な制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入)に対応してもらう為に活用してもらいたいというメッセージが込められています。

他の補助金とは少し異なる事業スキーム

IT導入補助金は他の補助金とは事業スキームが少し異なります。ここが最大の特徴ともいえますので図を見ながらご説明いたします。

まずは一般的補助金のスキームの例として「小規模事業者持続化補助金」の図をご覧下さい。

令和元年度補正予算小規模事業者持続化補助金<一般型>公募要領(旧版)より参照

小規模事業者持続化補助金をはじめとする一般的な補助金は「小規模事業者」と「補助金 事務局」が直接やりとりをします。いわば1対1でのPK戦のような戦い方です。小規模事業者持続化補助金では各地商工会議所や商工会がアドバイザーとなって相談や経営計画の策定支援にのってはいるものの立場的にはあくまでアドバイザーであり、直接事務局とやりとりを行うのはあくまで事業者自身となっています。

それに対してIT導入補助金のスキームは以下のとおりです。

IT導入補助金では、事業者はIT導入支援事業者と共同事業体となり、IT導入補助金の事務局に申請を行います。この時のIT導入支援事業者はアドバイザーという立場を超えて、共同で申請書類を作成していきます。

対象となるITツールとは

IT導入補助金では対象となるITツールは登録されたIT登録支援事業者が扱う登録済のITツールのみとなります。

また登録されたITツールはその内容に応じて3つの大分類に分かれています。

さらにその大分類の1つのソフトウェアは7つのプロセスと呼ばれる役割に分かれており、申請する枠に応じてどのプロセスをいくつ以上選択しなければいけない等のルールが設定されています。

申請枠について

IT導入補助金は「通常枠(A・B類型)」と「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入類型」の3つの枠に分かれています。

通常枠(A類型)

通常枠(A類型)は上記で説明した7つのプロセスのうち汎用プロセスをのぞく6つの中から1つ以上の業務プロセスを担うソフトウェアを申請する枠です。汎用ツールだけでは申請ができないのでその点には注意が必要です。

なお、補助金額は5万円以上~150万円未満とされており、補助率は1/2です。

通常枠(B類型)

B類型は上記で説明した7つのプロセスから4つ以上を担うソフトウェアを申請する必要があります。複数のソフトウェアを同時に申請して4つ以上になるような方法も認められています。

補助金額は150万円以上~450万円以下となります。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうち、本事業においてIT導入支援事業者が提供し事前登録されたサービスを導入する場合の特別枠です。

この申請枠はサービス利用料の最大2年間分が補助対象経費となっており、補助金額は5万円以上~100万円までとされています。補助率は1/2です。

デジタル化基盤導入類型

デジタル化基盤導入類型は大分類1ソフトウェアの中で「会計」「受発注」「決済」「EC」の機能を1つ以上含んでいる場合に申請できる枠になります。

このデジタル化基盤導入類型のみ、申請するソフトウェアの使用に資するものであれば、ハードウェア(PC、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機、POSレジ、券売機)も申請することができます。

補助金額はソフトウェアは300万円まで(下限なし)、PCやタブレットなどハードウェアは10万円までとなっています。補助率はソフトウェアについては50万円までは3/4(50万円超は2/3)。ハードウェアについては1/2となります。

補助対象者

IT導入補助金はかなり広い事業者が補助対象となっています。

一般的な中小企業、小規模事業者、個人事業者だけでなく、NPO法人、一般社団法人も対象。さらには農業協同組合や商工会、商工会議所、商工組合、学校法人、医療法人なども対象となります。

一般社団法人が対象となる補助金は非常に珍しいですね。

IT導入補助金の特徴

IT導入補助金の特徴として、これまで述べたような支援事業者と共同で申請することや、登録されたITツールのみが対象となる、非常に多くの法人格が対象となるといった特徴がありますが、それ以外にも他の補助金と異なる特徴があります。

⑴事業計画書が必要ない

小規模事業者持続化補助金が8ページ。ものづくり補助金は10ページ。事業再構築補助金は10~15ページの事業計画書を作成する必要がありますが、IT導入補助金はこのような事業計画書の作成はありません。ウェブ上の質問項目を1つずつ埋めていくような申請になりますので難易度が非常に低いといえます。

唯一作文が必要な個所でも300字程度の分量なので他の補助金と比べるとその差は歴然です。

⑵採択率が高い

2023年7月現在最新の各補助金の採択率は持続化補助金が58.9%。ものづくり補助金が50.7%。事業再構築補助金が45.4%となっています。

IT導入補助金は73.8%と非常に高い数字となっています。

⑶申請回数が多い

補助金は昔は年に1回または2回の申請チャンスという補助金が多かったのですがコロナ禍以降通年で募集がかかる補助金も増えました。しかしそれでも3か月や4ヵ月に1回の申請というのが一般的です。

その中でIT導入補助金は1カ月に1~2回という非常に多い回数受付をしています。

国が中小企業のDX化を早急に進めていきたいという様子がよくわかります。

まとめ

IT導入補助金はここまで見てきたように支援事業者と共同申請をすることもあり、申請にあたってのハードルが非常に低くなっています。

ぜひ業務のIT化の為に本補助金を活用していただきたいと思います。

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三島友紀
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