小規模事業者持続化補助金の災害支援枠を解説。補助金を活用して早期の復興に道すじを。

2024年2月1日、小規模事業者持続化補助金に災害支援枠(令和6年能登半島地震)の申請受付が開始されました。小規模事業者持続化補助金では過去にもコロナ対策型などその時々に応じ必要とされる特別枠が設定されてきた歴史があります。今回の災害支援枠はどのようなものなのでしょうか?解説いたします。

災害支援枠(令和6年能登半島地震)とは

この特別枠は令和6年1月1日に発災した能登半島地震による災害において、北陸4県(石川県、富山県、福井県、新潟県)の多くの小規模事業者が、生産設備や販売拠点の流出・損壊、顧客や販路の喪失という状況に陥ったため、小規模事業者を支援する目的で作られました。

災害支援枠の補助対象者は

上記の理由から補助対象者は「石川県」「富山県」「福井県」「新潟県」に所在する事業者で、罹災証明などにおいて令和6年能登半島地震で直接または間接的な被害を受けたことが証明できる事業者に限られています。

なお、本店が上記4県以外であっても当該地域で支店や事業所があり事業再建は支店や事業所で行うような場合は補助対象者となります。

反対に、本店が上記4県にあっても事業の実施場所が他の都道府県であり、当該地域内で事業を実質的に営んでいない場合は対象にはなりません。

その他の要件は通常の小規模事業者持続化補助金と同様となっています。

災害支援枠の補助率など

補助率補助対象経費の2/3(ただし以下の要件を全て満たす場合は定額給付)
1,事業用資産への罹災が証明できる事業者または、災害からの復旧・復興に向けて国等が実施した支援を活用した事業者
2,災害以降に売上高が20%以上減少しており復興途上にある事業者
3,交付申請時において、災害からの復旧又は復興に向けた事業活動に要した債務を抱えている事業者
※この場合の災害には「令和6年能登半島地震」だけでなく過去5年以内を目安に発生した災害であり、災害救助法の適応を受けた災害も含まれます。
補助上限額①200万円(自社の事業用資産に損壊等の直接的な被害があった事業者)
②100万円(間接的(売上減少)な被害があった事業者)

災害支援枠では早期の復興復旧のため、一定の要件を満たす被害が大きかった事業者に対しては2/3ではなく定額での給付となります。

災害支援枠の補助対象経費は

災害支援枠では補助対象経費も通常とは少し異なる取扱いをしています。例えば以下のように対象となる経費が拡大しています。

PCやタブレット等…通常は汎用性が高く目的外使用になるとされ補助対象にはなりませんが、災害支援枠では経営計画書に基づく事業用途であり、他の用途での使用(目的外使用)がないと整理ができる場合は補助対象経費となります。

自動車…通常は補助対象外の事業者についても、事業の遂行に必要不可欠であり、もっぱら補助事業で取り組む特定の業務のみに用いることが明らかな車両の購入に必要な経費(事業に供する車両が被災した場合に限る)については対象となるとしています。

交付決定前に支出した費用…通常は申請後、採択を経て交付決定を受けてからでないと補助対象経費についての支出をしてはいけないとされていますが、今回は特例として令和6年1月1日の能登半島地震により被災された日以降に補助事業を実施し、発生した経費を遡って補助対象経費とする取扱いとなっています。

災害支援枠の申請方法は

通常の小規模事業者持続化補助金は電子申請を行っており、郵送での申請は減点対象となっていますが、災害支援枠は郵送での申請のみとなっております。当然減点などの措置も行われません。

災害支援枠の審査の観点は

通常の小規模事業者持続化補助金と違って審査の観点はかなりシンプルになっています。

まず基礎審査として次の要件を全て満たすものであることが求められています。
①必要な情報がすべて確認できること
②補助対象者、補助対象事業の要件に合致すること
③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること
④申請者自身が主体的に活動する取組であること

おそらく元々事業を営んでいて、その事業の復興計画を立てた場合①~④の全て満たす事業計画になると思います。(例外的に例えば海産物の製造工場を営んでいた事業者が製造工場を諦め別事業を始める場合③について検討する必要はあるかと思います)

次に加点審査として計画情報について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価が高いものから順に採択を行います。とされています。
①事業再建に向けた取組として適切な取組であるか。
②令和6年能登半島地震による被害の程度
③その他、自社分析の妥当性や計画の有効性、積算の透明・適切性

一般型にあるように「自社の強み」や「市場の特性」「ITを有効に活用する取組み」といった具体的な審査項目がありません。これは多くの事業者の支援を行いたいという趣旨から審査基準を低くしているのだと思います。

まとめ

小規模事業者持続化補助金の災害支援枠についての解説をいたしました。第1回の締切が令和6年2月29日となっていますが、2次公募も予定されています。罹災証明を発行でき、復興のための借入をしている事業者であれば定額給付になり得るので、200万円支出して全額の200万円の補助を受けられます。早期の事業の立て直しに非常に有意義といえますので是非ご活用をいただきたいと思っています。

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三島友紀
“できるかな”をできるに変える!
夢や目標達成のための計画作成や、お金にまつわる悩みの見える化、面倒な書類作成代行を通じて、多摩地域の個人と企業の目標達成や不安の解消をサポートします。

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行政書士/ファイナンシャル・プランナー

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