はじめに
「事業の売上を伸ばしたいけれど、資金面が不安…」
「広告費や設備投資のための補助金があったら助かる…」
そんなお悩みをお持ちの小規模事業者の方に向けて、今回は2025年の小規模事業者持続化補助金のスケジュールについて予想を交えながら解説していきたいと思います。
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化のための取組みに必要な経費の一部を国が支援してくれる制度です。2025年は第17回の公募が決まっており、17回以降も実施されると考えられており。例年と同様に事業の成長を後押しするための強い味方となる補助金となります。ぜひ活用方法を知っておきましょう!
小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金とは、日本商工会議所や全国商工会連合会を通じて申請する補助金制度で、小規模事業者が販路開拓や業務改善のために活用できる資金援助制度です。
小規模事業者とは
申請できる小規模事業者とは「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において、業種ごとに従業員数で小規模事業者であるか否かを判断しています。
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 常時使用する従業員の数 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
製造業その他 | 常時使用する従業員の数 20人以下 |
具体的な補助対象例
- 新しいホームページの制作
- チラシ・広告の作成
- 店舗改装や設備投資
- 展示会出展費用
- ITツール導入(例:ECサイトの構築)
申請枠及び補助上限額
申請枠は主に「一般型」と「創業型」の2種類となっており、それ以外に特定の機関や商工会等の内部組織(青年部・女性部等)向けの申請枠があります。一般型はインボイス特例と賃金引上げ特例があり、特例を使う事で補助上限額が上乗せになります。
一般型 | 通常枠 | 50万円 |
インボイス特例 | 100万円(特例で50万円上乗せ) | |
賃金引上げ特例 | 200万円(特例で150万円上乗せ) | |
創業型 | (インボイス特例) | 200万円 |

※中小企業庁発表の「小規模事業者持続化補助金の概要資料」
小規模事業者持続化補助金の活用事例
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務改善のために活用できる補助金です。単なる広告宣伝費というだけでなくさまざまな用途で活用できます。
1. 広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費
- チラシ・ポスター等広告物の作成
活用事例: 小売店がキャンペーンが高齢者向けのキャンペーンを実施するにあたりデジタルサイネージを導入する。
活用事例:サービス業が新たなサービスを開発するにあたり、その広報の為にチラシとショップカードを作成する。 - チラシの配布・新聞の折り込み広告・DMの実施
活用事例:新たなサービスの周知の為にチラシをポスティングしたり、DMを送付する。 - 展示会への出展
活用事例: 製造業者が自社の商品を展示会に出展し、全国への販路を開拓する。 - HP、LPの制作
活用事例:新たなサービスを記載したHPやLPを制作する。
2. 機械装置等費・ウェブサイト関連費
- 設備投資:
活用事例: 飲食店が新たな調理機械を導入し提供時間や食品ロスが減少 - ITツール導入
活用事例: 小売店がセルフレジを導入することで省力化を実現。
3. 委託外注費
- バリアフリー・改装
活用事例: 高齢者向けサービスを提供する店舗がバリアフリーな改装を施し集客力をアップ - 感染症対策
活用事例:飲食店がトイレや洗面所を非接触のものに改装し安全に食事をしてもらう事に成功。
小規模事業者持続化補助金の申請から補助金受領までの流れ
1,要件の確認及び申請枠、特例の使用の検討
小規模事業者持続化補助金は申請するにあたり、小規模事業者か対象となる法人格なのか等要件が定められています。また複数の申請枠と特例が用意されており、それぞれ補助上限額や補助率が変わります。自社は申請要件を満たしているのか、申請するならどの申請枠で申請すべきなのか、特例は使うのか。の検討を行います。
2,事業計画書の作成
申請時最も大事な事業計画書作成します。事業の目的は何か、計画の趣旨とスケジュール、予算について。さらには計画を実行した後、どう事業者の成長に繋がるのかを明確にします。第16回はWordで作成ではなく、オンラインで申請画面に直接入力する方式でした。
第17回でも同様の方式となる可能性があります。
3,申請書の提出
必要書類として事業計画書や賃金台帳、誓約書等を整え、締切日までに申請します。第16回は完全なオンライン申請でした。第17回もオンライン申請が基本となり、郵送申請があったとしても審査における減点対象となると思われます。
4,審査・採択
提出された事業計画書を元に事務局で審査が行われます。事業の新規性、収益性、将来性等様々な項目によって審査され、一定以上の評価の事業者が採択となります。これまでの傾向を見ると申請締め切りから採択発表まで2カ月半ほどかかる見込みです。
5,事業実施
採択された事業者は採択後に送付されてくる交付決定通知書を確認後、計画に基づいて事業を進めます。補助対象経費に関する契約や、支払、納品物の受取などが行います。
この後の実績報告で必要になりますので経費の支出や成果物の管理は徹底し、必要な証拠書類を保管しておく必要があります。
6,実績報告・補助金の受け取り
事業完了後は実施報告書を提出し、審査を経て補助金が支給されることになります。報告書には、実施事業の詳細や経費の内訳、成果を記載する必要があり、さらに添付資料として契約書や納品書、支払明細等様々な書類が必要になります。
第16回までとの変更点
特別枠の整理
第17回公募では、政策の原点回帰として、経営計画の策定に重点を置くため、複数の特別枠が整理されることになりました。従来あった「卒業枠」や「後継者支援枠」が廃止・整理され、「一般型」と「創業型」の2種類の類型となっています。
デジタル化の方針継続
第12回以降GビズIDを使った電子申請を推進してきた事務局は、第16回で完全電子申請となり、郵送申請は不可となりました。今後もこの傾向は続いていくとみられており、第17回でも電子申請が基本となります。現在GビズIDを持っていない事業者の方は早めに申請し取得することが大切になります。
2025年のスケジュール(第17回以降)
小規模事業者持続的発展支援事業(小規模事業者持続化補助金)に係る事務局の公募要領に第17回以降のスケジュールについて言及があります。
「令和7年度中に複数回公募を行い、全体で3万社程度の事業者に対して補助金を交付する事務などを行うものとします」
また、同事務局の公募に関する「質問回答書」にはより具体的な申請枠ごとの公募回数について言及があります。
「通常枠・創業型 2026年3月末までに3回程度の公募を予定しています。」
これらの事から、2025年度は以下のような公募スケジュールになるのかと予測します。
(あくまで当事務所の予測です。最新情報は中小企業庁及び事務局のHP等でご確認ください)
第17回公募 : 2025年4月公募開始、2025年6月締切
第18回公募 : 2025年8月公募開始、2025年10月締切
第19回公募 : 2025年12月公募開始、2026年2月締切
まとめ
2025年の小規模事業者持続化補助金は3回の公募を予定しています。
締切時期としては6月・10月・2月頃ではないかと予想できます。申請を検討される方はまずはGビズIDを取得したうえで、事業計画の素案作りや、事業実施スケジュール等早めの準備を進めることが重要といえます。
特にデジタル化や人件費の引上げについて重点を置く事が想定できるため、このような取り組みを検討されるのであればとても使い勝手がよいのではないでしょうか。
こんな取組内容で小規模事業者持続化補助金は使えるのだろうか?等ご不明な点があればお気軽にご連絡・ご相談をいただければと思います。