事業再構築補助金の事前着手届出について解説!

事業再構築補助金は新規事業を行う際にとても使える補助金だと思いますが、申請し採択をされた場合でも交付申請をして見積書などを提出し、その後の交付決定を経てからでないと取組みを進めることはできず、スピーディーさにはかけると言えます。

ただし事前着手届出をしておけば交付決定を待つ事なく、スピード感のある事業開始ができます。本記事では事業再構築補助金の事前着手届出について解説いたします。

事前着手届出とは

事業再構築補助金にのみ認められている制度で、交付決定前に支出した経費についても一定期間遡って補助対象経費に含むことができる制度です。

通常は補助金の採択発表の後にも、交付決定を受けてからでないと補助事業を進めることはできず、交付決定前に支出していた経費は補助金の対象とすることはできませんでした。そのためせっかく補助金の採択決定を得たとしても、補助金の対象から外れてしまったり、事業開始が遅れてしまいライバル企業に先を越されたりといった悪影響が発生してしまうことがありました。

事前着手届出を行う事で既に応募時点で支出していた費用や、採択後すぐに支出を予定している費用なども対象とすることができスピード感のある新事業を検討することができるようになります。

事前着手届出の対象枠

事業再構築補助金の応募者全てが事前着手届出の対象となるわけではありません。7月24日(月)現在最新の公募要領である第10回公募要領(第10回は令和5年6月30日に終了)によると「事前着手届出」を申請できる枠は

「最低賃金枠」

「物価高騰対策・回復再生応援枠」

の2枠とされています。

この2枠はどちらも売上高減少要件があり、コロナや物価高騰の要因により経営にダメージを負っており早期の事業再構築が必要なことから事前着手届出の対象となっています。

この2つ以外の枠である、成長枠やグリーン枠などは事前着手届出の対象枠のため、新規事業に関する契約や発注などは通常通り交付決定を経てから行わなければなりません。

いつまで遡れるのか

現在最新の公募要領である第10回公募要領(第10回は令和5年6月30日に終了)によると令和4年12月2日まで遡って補助対象経費とすることができます。

反対に令和4年12月1日以前に行われた契約や発注等については補助対象経費としては認められません。

事前着手届出の申請方法

事前着手届出の申請は事業再構築補助金の申請とは異なり、事業再構築補助金のホームページから行わずに「JGrants」のページから行います。

https://www.jgrants-portal.go.jp/

「補助金を探す」のメニューより「事業再構築補助金」「事前着手」で検索すると申請ページにたどり着けると思いますので申請ページ内で

「新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業の概要」

「事業計画の概要」

「新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による事業活動への影響」

「事業開始が遅れた場合に生じ得る影響」

について300文字程度で記載して申請します。

事前着手届出の注意点

①事前着手届出が受理されても本申請が不採択の場合はある

事前着手届出は割と通りやすい傾向にあります。その為事前着手届出自体は認められることが多いものの、その後本申請で不採択となった場合は当然補助金を受け取る事は出来なくなる為、次の公募回の状況なども考えながら申請することが大切です。

②事前着手届出が認められても交付申請はしなくてはならない

事前着手届出が認められるても交付申請、交付決定はやらなくてはなりません。安心感から交付申請が遅れてしまって補助事業期間終了直前にバタバタしたり、交付申請で補助対象経費と認められず事前着手していた経費が対象にならなかったりという事も起こり得ます。

まとめ

事業再構築補助金は他の補助金と異なり、事前着手届出によって遡って対象経費にすることができる珍しい補助金です。対象の枠で申請する場合についてはこの制度をぜひ理解いただいた上で補助金を活用しましょう。

なお、これまで事前着手届出の制度は遡れる期間の更新などで何度かルール変更が行われていますので常に最新の公募要領で確認するようにしましょう。

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三島友紀
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