事業再構築補助金のグリーン成長枠とは?わかりやすく解説します。

事業再構築補助金にはグリーン枠(エントリー・スタンダード)といわれる脱炭素、グリーン化に資する事業に対しての特別な枠が用意されています。成長枠と比較しても補助上限が高いグリーン成長枠。どのような違いがあって、どのような企業が申請できるのでしょうか?わかりやすく解説します。

グリーン成長枠の概要

公募要領によるとグリーン成長枠とは、研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組みを行う中小企業等の事業再構築を支援する枠とされています。

グリーン成長戦略「実行計画」14分野とは?

2020年10月に日本が宣言した「2050年カーボンニュートラル」に向けて「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を経済産業省が中心となり策定、その成長戦略の中で産業政策宇・エネルギー政策の両面から成長が期待される14の重点分野を選定しました。その14の成長分野それぞれに実行計画を作り、後押しする為に補助金という面でも支援を行っている分野です。

※グリーン成長戦略で選定された14の重点分野「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」広報資料より

グリーン成長要件とは

グリーン成長枠に申請する為にはグリーン成長要件に合致する取組みでないといけません。グリーン成長要件とは上記「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「実行計画」が策定されている14分野に関し、各分野ごとに現状と課題として記載のある「課題」の解決に資する取組みである事が求められています。

1度上記リンクから各分野の現状と課題を確認し、どのような取組みが求められているのか考えてみましょう。

また、「課題の解決」に取り組む際には1年(エントリーの場合)または2年(スタンダードの場合)以上の研究開発・技術開発又は従業員の一定割合以上に対する人材育成を行う事を「研究開発・技術開発計画書又は人材育成計画書」として提出する必要があります。

グリーン成長枠のその他の要件とは

グリーン成長枠に申請する一番のハードルは上記グリーン成長要件ですが、それ以外にも細かな要件があります。「付加価値額要件」「給与総額増加要件」の2つです。基本的な考え方は成長枠と同じとなっています。

付加価値額要件

補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均4.0~5.0%以上の増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均4.0~5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定することが要件とされています。エントリーであれば成長枠と同様の4.0%の増加で大丈夫ですが、スタンダードで申請する場合は5.0%の増加が必要となっています。

給与総額増加要件

事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させることが要件となっています。この要件は成長枠と同様となっており、エントリーもスタンダードも同様の増加率となっています。

グリーン成長枠の補助上限金額

グリーン成長枠のうちエントリーは従業員の人数によって補助上限額は変わります。ただしスタンダードについては従業員の人数に関わらず補助上限額は一定となっています。成長枠よりも金額が多くより多くの取組みを行うことができるようになっています。

エントリー
中小企業者等従業員数20人以下100~4,000万円
従業員数21~50人100~6,000万円
従業員数51人以上100~8,000万円
中堅企業等100~1億円
スタンダード
中小企業者等100~1億円
中堅企業等100~1.5億円

グリーン成長枠の補助率

グリーン成長枠の補助率は成長枠と変わりません。

中小企業者等1/2(大規模な賃上げを行う場合は2/3)
中堅企業等1/3(大規模な賃上げを行う場合は1/2)

グリーン成長枠は1度採択された企業でも再度申請が可能

グリーン成長枠は第1回~第9回公募で補助金交付候補者として採択された者や、交付決定を受けている者であっても2回目の事業再構築補助金の申請が可能な枠となっています。そのように既に1度採択を受けた方が申請する場合には次の2つの要件に当てはまらなければいけません。

また、以下2つの要件に当てはまる場合であったとしても2回目の申請の場合は一定の減点を受けることとなります。

別事業要件

既に事業再構築補助金で取り組んでいる又は取り組む予定の補助事業とは異なる事業内容である事

能力評価要件

既存の事業再構築を行いながら新たに取り組む事業再構築を行うだけの体制や資金力がある事

グリーン成長枠の補助事業期間

グリーン成長枠は割と大規模な事業になったり、許認可手続きに時間がかかる事が想定されるので成長枠やその他の枠よりも補助事業期間が長めにとられています。

交付決定日から14カ月以内又は補助金交付候補者の採択発表日から16カ月後の日のどちらか早い日にちが補助事業の終了日となり、それまでの間に実績報告書を提出する必要があります。

まとめ

グリーン成長枠は2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の中で選定された14の重点分野の課題を解決する取組みに対して成長枠よりも補助上限を多くするなどの特典をつけた枠といえます。

申請するのに難易度はあがりますが、その分多額の補助金を獲得できる可能性があります。自社の取組みが重点分野に係る取り組みの場合は申請できるかどうか検討してみてはいかがでしょうか?

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三島友紀
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