事業再構築補助金の第11次公募スタート!採択率を上げるには・・?

2023年8月10日(木)に事業再構築補助金の第11次公募要領が発表になりました。申請受付開始はまだ調整中ですが、締切は2023年10月6日(金)18:00となります。発表から締切まで2か月ないという事であわただしくなりますが、少しでも採択率を上げる為に以下の点に注意をしておきましょう。また記事の最後には第10回と比べての変更点もまとめておきます。ご参考にしてください。

申請枠を確認しよう

まずは基本的な事ですが、申請枠を何にするのか確認しましょう。

第10回公募の採択発表はまだですが、第9回までの状況を総合すると、「成長枠は採択率が低く」「最低賃金枠と物価高騰対策・回復再生応援枠は採択率が高い」といえます。

さらに第10回からは成長枠(旧通常枠)の補助率が下がり、物価高騰対策・回復再生応援枠(旧回復・再生応援枠)の補助上限が上がっています。また、物価高騰対策・回復再生応援枠には事前着手届出が使えるというメリットもあります。

このため、成長枠で申請するよりも物価高騰対策・回復再生応援枠で申請する方がメリットが大きい事業者も一定程度いらっしゃると思います。

売上高減少要件などをクリアできるのであればそちらを選択し、少しでも採択率を上げるのも戦略のひとつです。

(ただし第9回までのように特別枠で不採択の場合、通常枠で再審査という制度はなくなっているようです)

加点項目を確認しよう

事業再構築補助金には加点に繋がる項目がいくつかあります。これらを漏らさず申請し、また少し準備することで加点に繋がるのであれば早めに準備をしておくとよいでしょう。

①大きく売上が減少しており業況が厳しい事業者に対する加点

2022年1月以降のいずれかの月のの売上高が対 2019~2021 年の同月比で 30%以上減少
していること(又は、2022 年 1 月以降のいずれかの月の付加価値額が、対 2019~2021
年の同月比で 45%以上減少していること)

これは物価高騰対策・回復再生応援枠に申請している事業者であれば対象になる事も多いでしょう。忘れない様に申請したいものです。

②経済産業省が行うEBPMの取組への協力に対する加点

データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行う EBPM の取
組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。

EBPMとはエビデンス・ペースト・ポリシー・メイキング/エビデンスに基づく政策立案の事で、製作の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づいたものにする試みの事です。つまりは補助金申請によって様々な企業の情報を経済産業省に提供することになりますが、補助事業が終わった後も継続的に情報提供を行う事で補助金の効果測定に協力してくださいねという事です。

情報提供が怖い。という事業者もいるかもしれませんが、チェックをするだけで加点になるのでできれば加点を獲得したい項目です。

③パートナーシップ構築宣言を行っている事業者に対する加点(成長枠・グリーン成長枠のみ)

「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト(https://www.biz-partnership.jp)におい
て宣言を公表している事業者。(応募締切日時点)

「パートナーシップ構築宣言」とは、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築することを、「発注者」側の立場から企業の代表者の名前で宣言するものです。

発注者側でない企業も宣言を行う事はできますし、宣言するだけであれば難易度は低いのでこちらもぜひ加点をとっておきたい内容です。

④サプライチェーン加点

複数の事業者が連携して事業に取り組む場合であって、同じサプライチェーンに属する事業者が、以下を満たし、連携して申請すること。
・直近 1 年間の連携体の取引関係(受注金額又は発注金額)が分かる書類(※)について、決算書や売上台帳などの証憑とともに提出すること。
・電子申請の際、該当箇所にチェックをすること。
※連携体に含まれる全ての事業者が、連携体内での取引関係があることが必要

申請する事業の内容によっては複数企業が密接に関わり商品開発を行うものもあります。そのような場合連携体として申請をすることでこのサプライチェーン加点を狙うことができます。

仕入先や納品先に「一緒にやらないか?」と協業を持ちかけるのも1つの方法でしょう。

⑤健康経営優良法人に認定された事業者に対する加点

令和 4 年度に健康経営優良法人に認定されていること。
※健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト(https://www.kenko-keiei.jp/)

令和4年度に認定された事業者については加点があります。該当するようでしたら忘れない様にしましょう。

⑥大幅な賃上げを実施する事業者に対する加点(成長枠・グリーン成長枠のみ)

事業実施期間終了後3~5 年で以下の基準以上の賃上げを実施すること(賃上げ幅が大き
いほど追加で加点)。
1.給与支給総額年率平均3%
2.給与支給総額年率平均4%
3.給与支給総額年率平均5%

別の記事でもお伝えしたようにこの賃上げは「給与支給総額」が基準なので従業員を新たに雇用していく場合比較的容易に達成することもできます。しっかりと将来設計を考えて採用計画を立て達成できそうであればもちろん加点を取りにいきましょう。

⑦ワーク・ライフ・バランス等の取組に対する加点

応募申請時点で、以下のいずれかに該当すること。

  1. 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者又は従業員数 100 人以下であって、「女性の活躍推進データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
    ※厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
    (https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/)
  2. 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者又は従業員数 100 人以下であって、「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
    ※厚生労働省「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」
    (https://ryouritsu.mhlw.go.jp/hiroba/search_int.php)

育児休業やフレックスタイム、テレワークなどの家庭と仕事を両立させる働き方に積極的に関わっていく企業に対して用意されている加点です。こちらも登録自体は比較的難易度は低いですので、ワークライフバランスに積極的に取り組みたいという意欲のある事業者の方は忘れずに登録し加点を取得してください。

審査項目を確認しよう

第10回から審査項目がいくつか変更になっています。

例えば新型コロナの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊急性が高いか。という審査項目については第10回からは無くなっています。

他にも競合との差別化において、第9回までは価格的・性能的に優位性や収益性を要しているか。という審査項目がありましたが、第10回からは価格・性能面での競争を回避し継続的に売上・利益が確保できるような差別化戦略が構築できているか。という審査項目に変わっており、価格・性能以外で差別化を行うように言われています。

これら審査項目は抜け・漏れがあるとその項目についてはゼロ点になってしまいます。

しっかりと審査項目を読み込み、その求められている内容全てに回答することで少しでも点数を獲得することができます。

第10回から第11回での変更点

最後に第11回の公募要領での変更点になります。

大きい変更点としては「サプライチェーン強靭化枠」についての公募がない点になります。応募件数が少なかったのかもしれませんね。

それ以外に補助対象経費にこのような記載が追加となりました。

建物費について

補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等に転用することは、一切認められませんのでご注意ください。不動産賃貸等に転用された場合、目的外使用と判断し、残存簿価相当額等を国庫に返納いただく必要がございますのでご注意ください。

これは前からそうでしたので明文化されたような感じですね。補助事業によって取得した物件は特定の第三者に長期間にわたり貸出するような使い方はできません。ワーケーション施設やレンタルオフィスのように不特定多数のものに短時間の場所貸しは対象ですが、ここはしっかりと区別されています。

補助対象外の費用について

観光農園等のうち、栽培に係る経費

再生可能エネルギーの発電を行うための発電設備及び当該設備と一体不可分の附属設備
(太陽光発電を行うためのソーラーパネルなど)

観光農園はいちご狩りやぶどう狩りなどの観光目的も含めた農園ですね。元々事業再構築では一次産業は対象外なので栽培に係る経費は対象外になるのは当然といえば当然です。栽培に係る経費は対象にはできませんが、カフェを作ったり、スイーツの製造機械を導入したりといった内容は補助対象経費にできます。

ソーラーパネルなどが対象外となるのは不動産投資と同等の性質を持つ不労所得といえるからでしょうか。元々事業再構築の公募要領で補助対象外費用が列挙されたところには「専ら資産運用的正確の強い事業」という記載があります。

おそらくは労働を伴わない不労所得を排除したいという意向からソーラーパネルが対象外になったといえます。

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三島友紀
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