事業再構築補助金~虎の巻~を解説!特徴を理解して採択率を高めよう!

事業再構築補助金は多額の補助金を獲得できるチャンスがある一方で、採択に至る為には10~15ページにわたる事業計画書を審査項目に従って書き上げないといけません。

初めて事業計画書を作る方にとっては非常に難易度が高いものといえます。

「良い事業計画書はどうやって書けばいいのかわからない」そうお悩みの方も多いと思います。

実は事業再構築補助金事務局では、そのような方に向けて有望な事業計画書を作る為に検討すべき項目についてまとめた資料を用意しています。この「虎の巻」を活用することでより精度の高い事業計画書を作ることができます。ただ130ページもある膨大な資料の為、簡単に概要を解説いたします(事業再構築補助金事務~虎の巻~

事業再構築の必要性を考えよう

虎の巻ではまず事業再構築の必要性を検討することを述べています。

「やりたいからやるんだ!」では必要性があるとはいえません。「なぜその新規事業をやるのか」の必要性を述べていく必要があります。

ありたい姿を考えよう

必要性を検討するにあたっては「自社のありたい姿」を考えることが大事です。

自社のありたい姿とは「5~10年後に実現したい事業・経営や顧客への価値」のことです。

地域でナンバー1のお店になっていたいのか、顧客満足度が高いお店なのか、全国出店を目指したいのか、海外展開を行って年商いくらになっていたいのか様々な目標やビジョンがあると思います。まずはそのような「ありたい姿」を検討します。

この「ありたい姿」と「現状」のギャップ(今のままの成長スピードではありたい姿は達成できない・・・)に対し企業が取るべきアクションが事業再構築の取組みとなり、必要性が生まれてきます。

有望な事業テーマかどうか検討しよう

実は事業再構築補助金には採択されやすいテーマというのが存在します。もちろん自社が行いたい事業を行うべきだとは思いますが、採択されやすいテーマというのは将来に向けても成長産業だったりすることも多いので「まず何をしようか悩んでいる」という方は虎の巻を見て事業テーマの見直しからはじめてみてもいいかもしれません。

市場・競合・顧客の調査

採択されやすいテーマを探す為に、市場や競合、顧客の調査をすることは非常に大事です。

アンケートを取ったりデータを調べたり、テストマーケティングを行ったりしながら自社リソースを活かせる(勝てる場所)を探していきます。

ポイントは市場調査であれば「統計局」など一次情報に触れていくこと。競合であれば顧客目線にたって自社を客観的に見て性能や価格を比較すること。顧客調査は足を使って自社の商圏を調査することです。

自社の強み・弱みの分析

事業環境の調査結果をSWOT分析を通じて整理し、自社の強みの活かし方を検討します。

環境が優れていて(成長産業である、ライバルが手薄、顧客のニーズが高い…etc)

自社の強みが高い(体制、技術力、ノウハウ等リソースを多く持つ…etc)

そんな新規事業を検討するとよい新規事業に繋がっていきます。

事業計画の具体化

自社があるべき姿に近づく為に、成長産業に向けて自社の強みを活かした取組みとなる「新規事業」が見つかったとします。

ではその「新規事業」を「事業計画書」にする際にどのような点に気を付ければよいのでしょうか?

虎の巻では13個の重要トピックが挙げられておりますのでその13個をしっかりと検討することが大事となります。

市場/顧客

自社の置かれた環境と合致するように自社の事業や地域性に関連のある市場データを参照する必要があります。これは前述した市場・競合・顧客の調査と同じことですが、よくやりがちな落とし穴として自社と直接関連が薄い、業界全体や全国のデータを引用するケースがありますので注意が必要です。あくまで自社の商圏内でのデータが必要となります。

競合

こちらも前述した市場/顧客と同様に自社の置かれた環境において、競合の強さ・数を把握し、自社にとって参入可能な事業であるかを確認して述べる必要があります。

SWOT

市場・顧客・競合への客観的な調査・分析を基に自社の強み×事業機会を検討して述べる必要があります。この時に環境分析の根拠が弱いと説得力を持って強みを伝えられないので要注意です。

また様々な高度な分析に走るよりも、全ての基本となる「自社の強み」を突き詰めて考える事が最も大事です。事業再構築補助金で何が一番大事なことかといえば「自社の強み」を活かして「成長産業」に進出すること。そしてその根拠だと考えています。

競争優位性

強みの言い換えではありますが、競合に対して持つ優位性や差別化ポイントについて述べていきます。まずは活用可能な自社の既存リソースを棚卸して、再構築後の軸となる強みを築くことができると実効性が高いという評価に繋がります。ここでも「強みを活かす事」が大事とされています。

また少し裏技のようですが、既存事業と新規事業が離れていればいるほど、新しい強みを補完する必要があります。その場合新規事業の領域ですでに強みを持つ企業との連携が効果的です。

新規性/イノベーション

革新性ともいえます。「全国で初」というほどの新規性は求められてはおりませんが、地域で初くらいの規模感の新規性のある事業だと評価は高くなります。特に先端的なデジタル技術を用いて地域の社会課題解決に貢献するような新事業・サービスを構築できるとより素晴らしいと思います。

やや中小企業にとってはハードルが高い項目ですが、地域の他企業や自治体と協業することで新たな試みが生まれないか検討してみてはいかがでしょうか?

付加価値額

売上をはじめとした数字が今後伸びていくかどうかをどれだけ根拠立てて述べていけるか。

例えば商品別/顧客別に細分化して売上/利益を試算することで積算精度の高さを向上させることができます。

また「がんばって売上20%あげます!」ではなく「類似業種」や「類似店舗」の売上推移が○○だから当店も○○と見込みます」のように数字にも根拠を付ける事も大事です。

シナジー

新規事業を行ったことによる既存事業への顧客と売上の増加の貢献度を定量的に述べていきます。

再構築補助金ですので新規事業に目が行きがちですが、既存事業を含む企業全体としての売上向上の意識を持つことが大事です。

生産性

利益率を向上させる事が生産性に繋がると考えています。固定費をいかに下げるか、仕入コストを下げるにはどうしたらよいか、様々な観点から効率化を進めていき固定費・変動費を削減していき高収益企業となるように検討していることを述べていきます。

財務状況/収益計画

財務状況は新規事業を行うのに問題ない財務状況にあるかどうかです。たとえば流動比率などを述べることで財務の健全性をアピールする。金融機関からの融資もすでに相談済である。など事業計画書と決算書を見て「財務面に問題はない」と思ってもらうようにします。

収益計画は付加価値額でも述べていますが、市場・顧客ニーズの根拠を元に売上見込を試算することが大切です。

投資計画・ROI/資金調達・計画

新規事業も投資行為です。当然投資するからにはリターンを回収しなければなりません。事業計画書では新規事業につぎ込む費用を利益で回収できるか記載することが求められています。具体的に○年で回収できる見込みであるという事を根拠を持って示す事が必要です。

借入金も収益計画のところで述べたように金融機関からの融資の状況などについてしっかりと記載しておきます。

遂行方法/スケジュール

目標から逆算したスケジュールを記載することが大切です。この時のスケジュールとは補助事業計画の取組み内容だけでなく補助事業計画外の「不動産の賃貸借契約」や「採用計画」「マーケティング計画」なども記載する必要があります。また交付申請や実績報告など採択後に発生する補助金の手続きも記載しておきましょう。

体制

自社の人材面の強みを明確化したうえで、社外の提携パートナーや関係者を含めた体制をアピールします。

課題/解決策

事業再構築は、新しい事業への挑戦のため、競合との差別化や新しい強みの構築等数多くの課題やチャレンジを行います。その中では当然様々な課題が発生することが通常です。その課題をきちんと把握しているのか、そして課題をどう解決するのかを記載することが大事です。

課題の解決はすぐに解決できる課題から、時間のかかる課題まで様々です。課題解決への対応を各種計画や実行スケジュールに織り込み、余裕を持って対処できると言えるように事業成功に向けた説得力を高めていきます。

参考資料:事業テーマの傾向・分析・結果

ここまでで事業再構築補助金の事業計画書に記載するべき事項について解説させていただきました。ただしい事業分析ができ、これら記載するべき事項をもらさず記載する事ができれば採択は目の前だといえます。

最後に虎の巻では事業テーマについて参考資料が記載されています。

正しい事業分析ができた場合、その解決方法の事業再構築の新事業も適切な選択ができるとは思いますが、その選択がより、国が求めている「統計上有望な事業テーマ」に近い方が採択が近くなるといえます。

その為、「まだ何をするか完全には決まっていない」という事であればこの参考資料も参考にした上で新事業を定めるのが望ましいといえます。

まとめ

事業再構築補助金の事業計画は何の下調べもせずに記載しても中々採択には結び付きません。非常に難易度が高いといえます。その為にはこの「事業分析の結果適切な事業テーマを考える事」「事業計画には必須事項の13項目を漏らさず記載すること」が大切になります。

これら全てがしっかり書けていれば採択率はグンとあがるはずです。ただし書くべきことがわかったとしてもそれを一貫性のあるストーリーに沿って書くのは一定の技術と経験が必要です。自社での作成が難しいということであれば早めに専門家に相談するといいと考えます。

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三島友紀
“できるかな”をできるに変える!
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行政書士/ファイナンシャル・プランナー

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