事業再構築補助金第13回公募開始。採択のポイントと前回との違い

令和6年の第12回の採択発表以降動きがなかった事業再構築補助金。このまま終了してしまって次の補助金に引き継がれるのかなと考えていましたが2025年1月10日(金)に突如第13回の公募が発表となりました。今回が正真正銘ラストの再構築補助金との事です。おそらく前回同様採択率は厳しいものになると思いますが、採択のポイントや前回の違いについて確認していきましょう。

事業再構築補助金第13回の概要

公募期間:令和7年1月10日(金) ~ 令和7年3月26日(水)18:00まで
申請受付:調整中
採択発表:令和7年6月下旬~7月上旬頃
申請類型:成長分野進出枠(通常類型)、成長分野進出枠(GX 進出類型)、コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
補助金額:申請類型によって最小100万円~最大15,000万円まで
補助率 :1/2~3/4
補助対象経費:建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門
家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経
費、広告宣伝・販売促進費、研修費、(廃業費…要件あり)
上乗せ措置:卒業促進上乗せ措置、中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置

13回の公募締切は令和7年3月26日となっています。採択発表が7月上旬となり、そこからすぐ交付申請を行ったとして交付決定は11月頃と予定されます。補助事業は成長分野進出枠(通常類型)とコロナ回復加速化枠の場合は交付決定日から12か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで)。成長分野進出枠(GX進出類型)の場合は交付決定日から14か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで)となっていますので、実際には令和7年11月から令和8年9月又は11月までの間に補助事業を行っていく事になります。

事業再構築補助金の事前着手申請は完全終了

これまで事業再構築は事前着手申請という手続があり、交付決定を受ける前であったとしても一定期間遡って補助対象経費とすることができました。この事前着手申請はコロナが落ち着きを見せた頃から徐々に縮小を見せ、第10回からは最低賃金枠、物価高騰対策・回復再生応援枠に限り認められるようになり、第12回からは原則廃止となり、例外的に第10~11回で上記枠に申請し不採択だったものが再申請する場合のみ認める取扱いとなっていました。

今回第13回の公募においては完全に廃止となり、これまでのようにすでに取り組んでいた事業に補助金を充てる。応募後すぐに事業に取り掛かってしまい、その経費を補助金に充てるといった事ができなくなりました。

これまで以上に緻密なスケジュール管理が求められます。

事業再構築補助金の基本要件

事業再構築補助金を申請する為にはまず基本要件を満たしたうえで、各申請類型の要件を満たす必要があります。

基本要件は下記のチラシのように

①事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業である
②事業計画について金融機関等や認定経営革新等支援機関の確認を受ける
③補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3~4%以上を達成する

を満たす必要があります。

このうち①の「事業再構築」の定義とは「製品等の新規性要件」等を満たす事で「新市場進出(新分野展開、業態転換)」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」、「国内回帰」又は「地域サプライチェーン維持・強靱化」のどれかに該当する事が必要であります。

よく新規事業はこれから実施するものでないといけないという誤解がありますが、事業再構築指針によると「製品等の新規性要件」については2020年4月以降に新たに取り組んでいる事業について新規性を満たすとされています。そのため、2020年3月以前は取り組んでおらず、2020年4月以降に新たに取り組んだ事業において交付決定後に支払う経費がある場合対象と事業再構築補助金の対象となる可能性があります。

事業再構築補助金の採択のポイント

事業再構築補助金は申請した事業計画を基に審査が行われます。補助金交付候補者として採択されるためには、合理的で説得力のある事業計画を策定することが必要です。

審査にはポイントがあります。

補助対象事業としての適格性…補助対象事業の要件を満たすか。事業再構築指針に沿った取組みであるか。

新規事業の有望度…継続的に売上・利益を確保できるだけの規模を有しているか。自社にとって参入可能な事業か。競合他社と比較して自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か。

事業の実現可能性…事業化に向けた、課題の検証・解決方法、スケジュールが明確かつ妥当か。最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できるか。十分な体制を確保出来ているか。

公的補助の必要性…川上、川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業であるか。補助事業として費用対効果が高いか。地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業化。

過剰投資の抑制…特定の期間に、類似のテーマ・設備等に関する申請が集中してなされている場合には、一時的流行による過剰投資誘発の恐れがあるため、別途審査を実施。過剰投資と判断された場合には大幅に減点。

これらのポイントを満たした新規事業の案を考え、事業計画書を作成しなければいけません。
個人的には特に第11回あたりから⑷が重視されているような気がしています。「地域」「業界」「雇用の創出」「サプライチェーン」等、自社だけでなく、自社と関わる様々な方に対してプラスの効果がある事業が採択されていると感じます。
自社が利益を上げるのはもちろん大切ですが、このような観点を持って新規事業を検討するとよいかと感じます。

また、⑸については2023年秋の行政秋のレビューで指摘があった「サウナ」や「インドアゴルフ」「エステ」等、一部の類似のテーマに応募が殺到しその結果需要を食い合ってしまい事業者が共倒れになってしまう事を考慮しての事になります。

事業再構築補助金。前回との違い

・公募類型が3類型に変更(第12回は5類型)
・新たな加点項目に「成長加速マッチングサービス」の会員登録が追加
・事前着手申請が完全に廃止

細かい変更点はあるものの大きな変更は上記3点くらいになります。

審査基準や事業計画書の作成方法も変更なし(事業計画書のマスキング済み書類は不要になりました)の為、申請自体に大きな変更点はないでしょう。

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三島友紀
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