東京都にはスタートアップ向けに中小企業振興公社が行う「創業助成事業」があります。また中小企業庁管轄で日本全国で商工会・商工会議所を窓口にして行う「小規模事業者持続化補助金(創業枠)」も当然東京都のスタートアップは選択することができます。
どちらも創業支援を目的としたです補助金・助成金ですが、対象者や補助内容、申請要件に違いがあり、採択率も大きな差がある為、どちらに申請すればいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
本記事では「創業助成事業」と「小規模事業者持続化補助金(創業型)」を比較し、どういうケースであればどちらを選択したらよいのかその答えを導きたいと思います。
① 東京都の創業助成事業の特徴は
概要
東京都(公益財団法人東京都中小企業振興公社)が行う、創業者向けの助成制度で、東京都内で事業を行う方が対象
対象者
- 東京都内で創業予定または創業後5年未満の中小事業者(個人及び中小企業)
- 東京都が実施する「認定特定創業支援事業」(創業セミナーや創業相談会)等を受講した人
上記2点を両方とも満たすものが対象
助成内容
- 助成率:3分の2
- 助成限度額:100万円~400万円
- 助成対象経費:
- 事業所の賃借料
- 広告費
- 従業員人件費
- 器具備品購入費等(PCやタブレットを含む)
過去5年間の採択率
申請者数 | 採択者数 | 採択率 | |
令和5年 | 1060 | 157 | 14.8% |
令和4年 | 1210 | 162 | 13.3% |
令和3年 | 1140 | 157 | 13.7% |
令和2年 | 1037 | 156 | 15.0% |
令和元年/平成31年 | 808 | 152 | 18.8% |
過去5年間の採択率は最も高い年でも18.8%と、かなり低い採択率である事が見てとれます。
創業5年以内で一定の創業支援を受けた方しか申請できないように絞り込んでいる状況でこの採択率はかなり難易度が高い事がわかります。
特徴
- 東京都限定の制度で、最大400万円と高額な支援が受けられる。
- 多くの補助金・助成金で対象にならない、店舗事務所の家賃、従業員の人件費、PC・タブレットが対象になる。
- 面接があり、採択率はかなり低い。
- 事業計画の審査があり、採択率はそれほど高くない。
- 個人事業主は開業前に申請することができる。
② 小規模事業者持続化補助金(創業型)の特徴は
概要
中小企業庁が商工会や商工会議所を窓口として実施する補助金制度で、日本全国の小規模事業者が対象となっています。小規模事業者の販路開拓や生産性向上を目的としています。2025年は「一般型」と「創業型」の2種類があり「創業型」は起業して間もないスタートアップ向けの特別枠です。
対象者
- 創業から3年以内の小規模事業者
- 小規模事業者とは、従業員数が以下の範囲の事業者
- 商業・サービス業:5人以下
- 製造業・その他:20人以下
- 小規模事業者とは、従業員数が以下の範囲の事業者
- 申請時に「特定創業支援等事業」による支援を完了していることが必要
- 東京都だけでなく日本全国全ての小規模事業者が対象
補助内容
- 補助率:3分の2
- 補助限度額:
- 通常:200万円
- インボイス発行事業者(免税事業者から登録を受けた場合):250万円
- 補助対象経費:
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
※ウェブサイト関連費は全体の補助金額の4分の1までという制限があります。 - 委託・外注費等
過去5回分の採択率
申請件数 | 採択者数 | 採択率 | |
第16回 | 7,371 | 2,741 | 37.1% |
第15回 | 13,336 | 5,580 | 41.8% |
第14回 | 13,597 | 8,497 | 62.4% |
第13回 | 15,308 | 8,729 | 57.0% |
第12回 | 13,373 | 7,438 | 55.6% |
過去5回分の採択率で最も高かったのは62.4%となっています。しかし、直近の第16回は37.1%となっているので今後もだいたい40%くらいの採択率で推移していくのではないかと考えます。
特徴
- 全国の小規模事業者が対象(東京都に限らず利用可能)。
- 創業3年以内の事業者で、「特定創業支援等事業」の支援を受けていれば申請可能。
- ウェブサイト関係の費用については上限が設けられている。
- 商工会議所や商工会のサポートを受ける必要がある。
どちらを選ぶべき?(具体的なケース別の選択基準)
創業助成事業と小規模事業者持続化補助金(創業型)は、どちらもスタートアップ向けの補助金ではありますが、それぞれ支援内容が異なるため事業者の事業内容や資金の使い道に応じてどちらに申請するか選ぶ必要があります。以下のようなケース別に、どちらを選ぶべきかを解説します。
① 賃貸オフィスや店舗の家賃補助を受けたい場合
「東京都創業助成事業」がおすすめ
- 創業助成事業では、賃借料(家賃)が助成対象となっています。最大2年間分の家賃を支援しを受ける事ができます。
- 東京都内の店舗やオフィスは家賃が高額になる事も多いので、大きなメリットといえます。
- 小規模事業者持続化補助金では家賃補助が対象外のため、家賃負担を軽減したい場合は創業助成事業の方が適している。
② ホームページ制作・ウェブ広告など販路開拓を重視したい場合
「東京都創業助成事業」がおすすめ
- 創業助成事業では広報費としてホームページ制作やウェブ広告を補助対象経費にできます。小規模事業者持続化補助金と違い、全体の補助金の何割という制限もないので、ウェブ集客を中心に考えているのであれば創業助成事業がおすすめです。
- また、創業助成事業ではPCやタブレットも補助対象になるのもおすすめポイントです。
- ただし小規模事業者持続化補助金でも印刷物による広告費は上限などはないため、チラシやパンフレット等が中心の集客を行う場合は小規模事業者持続化補助金でも十分良いと考えます。
③ 従業員を雇用し、人件費の補助を受けたい場合
「東京都創業助成事業」がおすすめ
- 従業員の人件費が助成対象に含まれるため、創業初期から人を雇って事業を成長させたい場合に適している。
- 逆に自分1人で事業をスタートさせる場合はあえて創業助成事業にするメリットはないため、小規模事業者持続化補助金の方がおすすめといえます。
➃ 事務所や店舗のリニューアルや内装工事の補助を受けたい場合
「小規模事業者持続化補助金(創業枠)」がおすすめ
- 「小規模事業者持続化補助金(創業枠)」には委託・外注費という経費項目があり、その経費項目の中で工事費用をまかなう事ができます。
- 「創業助成事業」については工事費をまかなう経費項目がないため、店舗改装やバリアフリー化工事のような取組みを行いたい場合にはおすすめできません。
- 「小規模事業者持続化補助金(創業枠)」は補助上限額は「創業助成事業」よりも少ないですが、それでも最大250万円まで補助が出るので375万円までの工事であれば補助金で満額補助されます。
⑤ より確実に補助金を受給したい場合
「小規模事業者持続化補助金(創業型)」がおすすめ
- 小規模事業者持続化補助金の採択率は約40%。創業助成事業は約15%なので採択率を考えると創業助成事業へのチャレンジは厳しい道のりといえます。安全に小規模事業者持続化補助金(創業型)にチャレンジするのも戦略です。
- さらに創業助成事業は面接があるが、小規模事業者持続化補助金(創業型)には面接がないため、面接が苦手な人にとっても小規模事業者持続化補助金(創業型)がおすすめです。
まとめ
このように同じ創業初期のスタートアップ向けの補助金といってもその性質は全く別物といえます。採択率は低いが、助成金額も高く、家賃や人件費、PCまで利用できる創業助成事業。ウェブ関連費に制限があるなど難点はあるが、工事費が対象となり、採択率もある程度高い、小規模事業者持続化補助金。
それぞれの補助金の性質をきちんと検討して自社にあった補助金を申請することが大切です。